心理学の基礎-「記憶」に関する問題
問題番号(年度-問題番号):6-10,7-13,9-4abce,8-5D,12-22,13-3
●記憶
外界から刺激が入ったとき、ごく短時間(数百ミリ秒)の感覚レベルの記憶(感覚記憶)となるが、その一部が数十秒間持続する短期記憶になるそしてその中の一部が長期に持続する長期記憶になる。
記銘→保持→再生の過程→6-10d
●記憶の容量
短期記憶・・・7±2チャンク、チャンクとはまとまりの単位→6-10b
長期記憶・・・無限→6-10a
●リハーサルと想起テスト
○リハーサル・・・記憶保持のための反復練習のこと
維持リハーサル・・・機械的に何回も復唱すること(音韻水準)
精緻化リハーサル・・・長期記憶へ情報を送り込む意味的な水準の深い処理をする→7-13A、
○想起テスト・・・長期記憶に保持されている内容を思い出すテスト→6-10c
再生法・・・記銘された内容をそのままの形で思い出す
再認法・・・記銘された項目を選び出す
再学習法・・・新奇なものの学習と再学習との差を見る方法
再学習法→再認法→再生法の順に結果がよい
●逆行抑制・・・新しい学習によって古い記憶が妨害されること(→6-10e)。いくつかの単語を覚えたあと、意味のない数字を復唱するという作業をすると、その作業をしなかったときと比べて、単語を覚えている量が少なくなる。当たり前。
●順行抑制・・・以前に記憶した情報が、その後に提示した情報に対して干渉してその情報の記憶を妨害すること(9-4のe、従ってこの記述は逆行抑制であるとしてるので間違い)
順行は→、逆行は←です。すなわち順行抑制:前の記憶→(じゃま)→新しい記憶、逆行抑制:前の記憶←(じゃま)←新しい記憶
●系列位置効果・・・暗記学習において、提示された順序によって項目の再生のされやすさに差があること。
初頭効果・・・系列の最初の項目は真ん中の項目に比べてかなりよく再生されること。
親近効果・・・系列の最後の項目は最もよく再生されること。(9-4bは誤り)
→しかし、7-13Cにあるように再生前に暗算などをさせると親近効果は失われます。これは逆行抑制ですね。
●文脈効果・・・前後の刺激の影響を受けて判断対象の刺激についての知覚が変化する現象
●長期記憶の種類
①意味記憶・・・言語に関わるような一般的な知識の記憶
②エピソード記憶・・・独立した個人的な出来事に関する記憶(9-4a)
(①②をまとめて宣言的記憶と呼ぶこともある)
③手続き記憶・・・意識にあまりのぼることのない習慣的動作。技能学習、運動学習、知覚学習などで得られた記憶などのこと。→5-13d
もうひとつの分類として
①顕在記憶・・・過去の出来事についての意識想起を伴う記憶
②潜在記憶・・・意識想起を伴わないのに、記憶が行動などに表出される
●脳損傷による健忘症は海馬を中心とした側頭野内側部が損傷を受けた場合起こる。(「脳」に関する問題解説参照)この場合、新しいことが全く覚えられなくなる(順行性健忘)。すなわち影響を受けるのは宣言的記憶あるいは顕在記憶である。(7-13B)
●プライミング効果・・・音韻、形態、意味などが類似している語を時間的に先行させて提示すると、後続の語の認知が促進されること。(8-5D)
→従って9-4cは誤り。プライミング効果は潜在記憶のレベルで起こり、先行刺激を見たという記憶がなくても効果が現れるところがポイント。
6-10
a→○
b→○
c→×
d→○
e→○
7-13
A・・・精緻リハーサルの方が成績がいい→×
B→×・・・エピソード記憶が障害を受けたり、新しいことが覚えられなくなる
C→○・・・逆行抑制
D・・・よくわからない記述ですね
8-5D
→○
9-4abce
a・・・意味記憶とは単語の意味などに関する記憶、出来事の記憶はエピソード記憶→×
b・・・系列の最後は新近効果といい、再生の成績はよい→×
c・・・プライミング効果では認知が促進される→×
e・・・以前に記憶した情報がその後の記憶を妨害するのは順行抑制→×
12-22
・・・記憶の文脈効果に関する実験
A・・・最後の「相互作用は認められない」が誤り→×
B→○
C・・・独立変数は記銘の環境、従属変数は再生単語数→×
D→○
13-3
・・・加齢とともに短期記憶は衰えるが、長期記憶の意味記憶は衰えない
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