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2004.08.27

H15問題-ロールシャッハ

問題番号:15-46,47,48,49

スコアの大まかな読み方・・・数字の横の矢印は平均より高い(↑)、低い(↓)

R(反応数)=21
→検査への取り組みを表す。平均値。

W:D:Dd=13:8:0↓
→全体反応、一般部分反応、特殊部分反応の比

DQv=3↑
→発達水準における漠然反応の数。平均値は0~1。刺激を極端に単純化して、対象を漠然と知覚している。低い知的能力、現実を正しく把握していない。

M:WSumC=3:2.5
→EB(体験型)、M≧WSumC:内向型・・・内面生活が豊か、現実刺激をそのまま受け入れないで自分の考えや欲求によって外界を再構成しようとする。
 M≦WSumC:外拡型・・・現実の刺激に反応、理性や思考よりも感情に左右されがち。感情表出の調整が困難、衝動的になりやすく直感的に行動、失敗を気にかけない。

FM+m:SumC’+SumT+SumV+SumY=3↓:7↑
→eb(基礎体験)・・・被験者が経験している要求刺激に関する情報
 FM+m≦3・・・内外の刺激(要求)を適切に処理していない。欲求にただちに反応
 FM+m≦1・・・欲求の表現になんらかの問題
 FM+m≧8・・・焦燥感、注意の集中が妨げられている、何かに動かされている感じ
 SumC’+SumT+SumV+SumY・・・認知されない不安、不快感、憂鬱、焦燥感で苦しんでいる。自己卑下や否定的な感情を抱いていることを表す

FD=2↑
→形態立体反応・・・自己への気づきを表すサイン。アイデンティティーを確立しようとしている。中高年では、自我を再構成しようとしている

FC:CF+C=3:1
→感情の調節
 FC>CF+C・・・感情表出を統制できている

PureC=0 
→純粋色彩反応の数

SumC’:WSumC=3:2.5
→感情的萎縮の割合、感情を過度にため込んでおくことに関係
 SumC’>WSumC・・・感情を過度にため込んでいる

L=.50→ラムダ(F/R-F)
X+%=76%→拡大良形態反応・・・現実吟味力
X-%=10%→不良形態反応・・・形態の利用の仕方がブロットとあっていない反応の割合、不正確で歪曲された知覚、現実吟味力の欠如、判断力の乏しさ、不自然な考え
F+%=71%→良形態反応

P=4↓
→平凡反応・・・被験者が生活しているコミュニティーや文化に合致した思考をする能力
 P≦4・・・判断力が損なわれ、被験者が所属している文化の認める思考をしにくい。期待される場面でも常識的、慣習的な行動を取りにくい。

W:M=13:3
→被験者の要求水準(動機づけ)が本人の有する潜在能力にがっちしているか。
 W/M≧4.4・・・高すぎる要求水準、自分の可能性を過大視、通常以上に高い目標
 このケースはW/M=4.3 

a:p=1:5
→積極的運動:消極的運動の割合、思考と態度の柔軟性に関する
 p>a+1・・・対人関係で消極的態度

以下のスコアは反応内容
H=2↓→人間反応・・・他者への関心
(H)=1→非現実的な人間
A=8→動物全体反応
Bt=5→植物
Cg=1→衣服
Cl=(1)→雲
Fd=1→食物・・・他者への依存欲求
Fi=(1)→火
Ls=1(1)→風景
Mu=(1)→音楽
Id=2(1)→その他
An(解剖)+Xy(エックス線写真)=0→身体、健康への関心

COP=2→協力的運動

MOR=2↑→不快な内容・・・自己イメージが悪く自分を否定的に眺め、物事がうまくいかないと自己や外界に対して悲観的、自分の不幸の原因を他者に帰属

問題46
A.漠然とした印象によって刺激を処理する傾向がある・・・DQv=3→○
B.意志決定や課題を解決する際、思考よりも感情に支配される・・・FC>CF+C→×
C.感情刺激に直面すると、かなり混乱して逃避的態度を取る
 ・・・Afr(感情の比率)を計算します。Afr=Ⅷ+Ⅸ+Ⅹの反応数/Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ+Ⅴ+Ⅵ+Ⅶの反応数、このケースではAfr=5/16=0.3↓・・・感情刺激を避けようとしていて、積極的に処理せず離れようとする→○
D.常識的・慣習的な仕方で反応する傾向が著しい・・・P=4↓→×

問題47
A.現実検討力が歪んでいて、物事を客観的に判断できない・・・X+%=76%→×
B.思考の構えや価値観を変えにくく、可塑性の欠如が目立つ・・・Dd=0↓→○
C.思考しているとき、他のことが浮かび注意を集中させにくい・・・R=21より特に集中を欠くことはない?→×
D.悲観的な構えによる思考をしやすい・・・MOR=2↑→○
答えはe

問題48
A.女性への攻撃的な感情を抱いている・・・???
B.現在、対象が明確でない不安を感じている・・・SumC’+SumT+SumV+SumY=7↑→○
C.思ったことをいわない態度によって、感情を内に押さえがちである・・・SumC’>WSumC→○
D.感情表出の調節や統制が困難である・・・FC>CF+C→×

問題49
A.自己愛肥大の傾向が見られる・・・???
B.自己を内省し、自分に関心を向けて、自我を再構成しようとしている・・・FD=2→○
C.自分は弱い存在であると、自己を否定的に眺めている・・・MOR=2→○
D.自分の身体状況を著しく気遣っている・・・An+Xy=0→×

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過去問の解説-ロールシャッハ」カテゴリの記事

コメント

名前の修正ありがとうございました。

当日は、試験会場に勉強部屋のみなさんがいると思うだけで、緊張が少しほぐれるような気がします。
(受験票が来たらの話だけど…。)

投稿: ようこ | 2004.09.26 22:52

ようこさん、どうもです~。

このサイトは私が通っていた大学院では紹介していたので、身内の訪問者はいましたよ。でも、まったく外の人はようこさんが初めてでした。私も宣伝の方法も知らないし、もともと仲間内で勉強会に出られない人のために始めたのでした。

こうやって広がっていくというのは予想以上ですが、でも仲間が増えるほどに、みんなでそのパワーを共有できて、すごくいい感じだなぁとうれしい毎日です。

ほんと、最後まで一緒にがんばりましょう。これからもよろしくお願いします。

投稿: ひろみ | 2004.09.26 22:32

さっきのコメントですが、「はっぱ」となっていましたが、「ようこ」の間違いです。

たまに漢字になったり、ニックネームになったりしてすいません。
いつもよく使ってる名前が登録されてて、勝手に押されてしまうんです。
(パソコンのせいにする私。)

>ひろみさん
修正できたら名前を修正してください。
無理だったらいいです。
仕事増やしてすみません。

投稿: ようこ | 2004.09.26 22:20

どういたしまして。
でも、私もひろみさんのロールシャッハの解説で助けられました。
(その他の解説でもすごく助かってます。)
実際に仕事で使ってると、確認せずにダイナミック(?)に解釈していく部分があるので、ひろみさんの解説で気づくことが多かったです。

ところで、私が初めての客だとは思いませんでした。
私が来た時には既にサイトとして出来上がってたので。
あの時偶然検索に引っかかってくれて良かったです。

最後の最後までみんなで勉強しましょう。

投稿: ようこ | 2004.09.26 22:12

ようこさん、今日一日、ロールシャッハのご教授ありがとうございます。私は独学に近くて、スコアの読み方もわからなままやっていますので、教えていただいて本当にありがたいです。

今日は朝から一度書いた記事を消してしまって、また書き直して疲れました。(その分同じことをくり返したので、覚えられましたが)でも、今日中に心理査定の問題解説をあげてしまいたいです。(まだまだやっていないところがいっぱい残っているので!)だから、ようこさんのコメントを丁寧に読む余裕が今はありません。一段落したらゆっくりよませていただきます。

思えばようこさんはこのサイトに初めて来てくださったお客様ですね。以来ずっと助けていただいて、ほんとに感謝です。あと2週間、最後までよろしくお願いします。

投稿: ひろみ | 2004.09.26 19:43

ロールシャッハは後回しにしようとしてたんですけど、H12までのコメントを書いていたら勢いがついてきたのでコメントします。

基本的にはひろみさんの解説があれば十分解けます。
ここでは、知っておいたほうがより回答しやすい内容を記します。
「⇒」以降が私のコメントです。

15-47
B.思考の構えや価値観を変えにくく、可塑性の欠如が目立つ・・・Dd=0↓→○
⇒他の所にも書きましたが、「思考の構え」、「価値観を変えにくい」、「可塑性の欠如」と言ったキーワードが出てきたら、「a:p」を見ます。
この比率は、一方がもう一方の2倍を超えることはありません。
その差が大きくなればなるほど、(どちらが大きかったとしても)思考の構えや価値観が凝り固まり、可塑性が欠如している(柔軟性に乏しい)と言えます。
この問題では、a:p=1:5なので、片方の比率がかなり高いです。

C.思考しているとき、他のことが浮かび注意を集中させにくい・・・R=21より特に集中を欠くことはない?→×
⇒思考において、「他のことが浮かぶ」、「注意の集中」と言ったキーワードが出てきたら、「FM+m」を見ます。
これは、意識の中心からそれた精神活動(欲求など)のことです。

「FM+m」の平均は3~6です。
これが多いと、余計なことばかりが頭に浮かんでしまい、注意集中が妨げられます。
(例えば、試験勉強をしている時に、食べ物のことが頻繁に頭をよぎったりすると、注意力・集中力が低下し、勉強がはかどりません。)
逆に少ない場合は、即座に余計な考えを解消している可能性があります。
(例えば、食べ物のことが頭に浮かんだ時点ですぐに何か食べてしまえば、その後は余計な考えが浮かぶこともありません。そうするとFM+mは少なくなります。)

この事例では3なので平均的です。
従って「他のことが浮かび、注意を集中させにくい」ことはありませんから、Eは×です。

15-48
A.女性への攻撃的な感情を抱いている・・・???
⇒反応内容を見ても、このような記述は見当たらないので×。

15-49
A.自己愛肥大の傾向が見られる・・・???
⇒Fr、rFのような鏡像反応、鏡映反応(「鏡に映っている」「湖に映っている」など)がないし、他に自己愛的な記述も見られないので×

投稿: ようこ | 2004.09.26 18:05

すっごく心強い言葉ありがとうございます!
いつも助けて頂いてばかりなので本屋さんや大学の図書館で
調べてきたいと思います。

投稿: teddy | 2004.09.23 21:11

teddyさん、コメントありがとうございます。

私は臨床でロールシャッハ・テストを使ったことがありません。本で勉強しただけです。片口でもエクスナーでも、実際に使っている人が強いですよ! だから自信を持ってください。

SZCIってなんでしょう? 私もわかりません・・・
こんなもんです。

ロールシャッハの解釈についてのサイトは知らないです。たぶんないと思います。
あせらないで、H15の問題を解いてみてください。片口ではどこが解けないかを冷静に判断してみましょう。たぶん、おおかた解けるのではないかと思いますが。それでわからないところをまたお話しましょう。私も頼りないですが、でも、きっと助けてくれる人がいますよ!

投稿: ひろみ | 2004.09.23 20:25

いつもお世話様です。
今ロールの勉強をしていますが、自分は片口式で仕事をして
いるのでエクスナー法がわかりません。去年はエクスナー法が
出題されたということは今年も出題の可能性はありそうですよね。かといって今からテキスト買って勉強をするのは…
ネット上でもいいので参考になるサイトはないでしょうか?
今SZCIの意味がわからず、やる気ダウンしてます。

投稿: teddy | 2004.09.23 17:40

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