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2004.08.27

統計-信頼性と妥当性

問題番号(年度-番号):3-13,4-22D,4-24,5-42,5-44,8-53,9-34,11-36,12-35,13-31,15-18,15-32

● 信頼性と妥当性に関しての大まかなイメージ
ある経験的指標が特定の理論的概念をどの程度表しているか、を測定するための2つの指標
例)ゴム製のものさし→信頼性がない
イリジウム合金のものさし→信頼性が高い…必ず同じ値が得られる(安定性)
目盛りのくるったイリジウム合金のものさし→妥当性が低い
…本当に測りたいものを測っていない(真実性)

● 信頼性
偶然的要因によって尺度の得点が変化する度合いの少なさ。測定された数値の安定性、一貫性、正確さ、安定度係数。
信頼性係数=真値の分散/観察値の分散
     =1-(誤差の分散/観察値の分散)
     =(観察値と真値の間の相関)の2乗

◎ 再テスト法
同じ個人に対して、一定期間(2週間から1ヶ月)をおいて同じテストを実施し、そのときの相関係数を取る。
長所: 直観的、わかりやすい、速度検査(スピードテスト)にも使用できる。
短所: 実施困難、記憶テストはテスト自体がリハーサルになる。時間的コストがかかる。

◎ 代替え形式法、平行テスト法、代替テスト法
長所: 再テスト法のような記憶の効果などが防げる。速度検査にも使用できる。
短所: 並行的な問題を作成すること自体が困難。コストも高くなる。時間をおくことで、再テスト法における問題も含むことになる。

◎ 折半法
全体の項目を2つに分け、信頼性係数の推定値を求めるために、各々の得点間の相関を求める。
→Spearman-Brown(1910)の公式
長所: 簡単、簡易。一回のテストですむ。計算も楽。再検査法での記憶の効果などお問題点がない。
短所: 分類方法に注意を要する。項目を半分ずつにするときによく使う手法は奇数番号と偶数番号とに分ける(奇偶法)のだが、それが本当によいのかどうかという吟味が必要。速度検査の場合は使うべきでない。

◎ 内的整合性による方法
すべての可能な折半法から信頼性係数の推定を繰り返し、その平均値をとる方法。
→Cronbachのα係数…内的整合性の高さを示す

● 妥当性
尺度が測定しようとしているものを、実際に測っているかどうかというその程度のこと。真実性。

◎ 基準関連妥当性
ある測定用具を用いる目的が、その測定用具にとって外的な行動の重要な様式を推定する場合に、はじめて問題になる。この外的な行動様式を「基準」と呼ぶ。(Nunnally, 1978)
妥当係数…テストと基準との相関係数
① 同時的(併存的)妥当性…測定値と基準とを同じ時点で相関を取る場合
② 予測的妥当性…基準が未来の場合
③ 差異妥当性
④ 増分妥当性
⑤ 交差妥当性
⑥ 交差文化妥当性

◎ 内的妥当性
例)算数の計算テストで計算能力全体を測定したいなら、加算のみしか入っていないテストはダメである。加減乗除のような全体の計算問題が必要である。
高めるための条件
① 研究者がその特定場面に関係する内容領域全体を詳細に記述できること。
② その領域全体から適当にサンプリングして項目を抜き出すこと。
③ それをテスト可能な形式に作り替えること。
★ 表面的妥当性
★ 論理的妥当性

◎ 構成概念妥当性
尺度を構成する理論のモデル・意味のネットワークが、経験的な世界と十分一致したときに構成概念妥当性が満たされる。
多特性・多法(M-M法、MTMM、多重特性多重法)
① 収束的妥当性…測定方法が異なっても同一構成概念間の相関が高い
② 弁別的妥当性…測定方法が同じでも別の構成概念であれば相関が低い
例)外向性・安定性という2つの特性を自己評価、他者評価という2つの方法で測定する場合。
→2つの方法間で、外向性どうし、内向性どうしの相関が高い→同一概念間での相関が高い→収束的妥当性が高い
→どの測定方法でも外向性と安定性の相関が上記の相関よりも低い→測定方法に依存しない→弁別的妥当性がある

3-13
A.どのように測定されるのか×→何を測定しているのか
B.→○
C.→○
D.→○

4-22D→×
検査の総得点と当該項目の得点との相関係数は「項目識別力の指数」であって、妥当性ではない。

4-24
A.→○
B.→×「その検査が測ろうとしているものをどの程度測定しているかを表す尺度」・・・妥当性
C.→○
D.折半法で求めた信頼係数は検査の内的整合性を表す。安定度を調べるのは再検査法→×

5-24
A→○
B・・・1回の実施で可→×
C→×
D→○
E・・・1週間おく必要はない→×

5-44・・・わかりません。覚えましょう。
A.Y-G性格検査は、尺度の内的整合性に基づいている→○
B.EPPSは、尺度外の基準との関係に基づいている→×
C.MASは、項目文章の意味内容に基づいている→○
D.MPIは、尺度外の基準との関係に基づいている→×
E.MMPIの臨床尺度は、尺度の内的整合性に基づいている→×

8-53
A.信頼性は内的整合性だけではない→×
B.→○
C.→○
D.→○・・・4-24D参照

9-34
妥当性・・・基準関連妥当性、内容的妥当性、構成概念妥当性
構成概念妥当性・・・収束的妥当性と弁別的妥当性

11-36
A.→×・・・8-53A参照
B.→○・・・信頼性係数は真値と標準誤差によって求めることができるので、逆に信頼係数と標準誤差が分かっていれば真値を推定できる
C.→×・・・項目数が多くなると信頼性係数は必ず高くなる
D.→○

12-35
投影法における、信頼性の測定についての問題。折半法は無意味、再検査法なら実施できる。
Cは平行法

13-31
A.→×・・・相関の2乗
B.→○
C.→×・・・CATはTATの子ども版
D.→○

15-18
A・・・不安尺度は構成概念妥当性の例としてよく使われています。中身はわからないながら・・・→○
B・・・内容妥当性は専門家の判断と「しけしん」にも書かれていました。→○
C・・・これは信頼性の安定性のことです→×
D・・・基準関連妥当性のうち、予測的妥当性の方です。この入学後の成績を外的基準というのも予測的妥当性の例としてよく出ます。中身はわかりません・・・→×

15-32
A・・・因子的妥当性というのが不明です。そもそもあるのかどうか・・・
B・・・妥当性が低くても信頼性が高いことがある→×
C・・・?でもBが間違いDが正しいので、答えはeに決まる→○
D→○

※言葉のつながりだけでも、答えがわかればいいか、と思っています。どうせ出題される全部の内容を知りつくすことは不可能なので・・・(開き直り(^_^;)

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コメント

Aさん、コメントありがとうございます。
私がすっかり摩耗して、皆さんの応援がままならない中のコメント、心から感謝します。
統計に関しては、「心理臨床大辞典」の解説も分かりやすいですよ。
因子妥当性については
ある理論に基づき、いくつかの下位尺度で構成される質問紙を作成し、実際に因子分析を行い、下位尺度が予測どおりの因子に分かれるかどうかを検討することを因子妥当性という
とあります。
従って因子妥当性は、構成概念妥当性に含まれる(大辞典ではそうなっています)こともあれば、内容妥当性に含まれることもあるようです。

投稿: ひろみ | 2014.10.02 20:25

15-32 A 因子的妥当性について

因子分析によって,1つの心理検査あるいは尺度が複数の因子に分けられた場合,それぞれの因子が因子としてうまくまとまっている程度のこと。因子分析によって因子が収束した場合に使う。
(『臨床心理士試験対策心理学標準テキスト'14~'15年版』p.224)

との記述を見つけました。既出でしたら恐縮です。

投稿: A | 2014.10.02 09:37

統計は、本当に難しくて、頭が痛いです。(>_<)
私は、ひろみさんのレポートを頼りに、生きてきたようなものです。本当に、いつもお世話になっています。

上述の妥当性のところですが、紛らわしくて、困ってしまいますが、内容的妥当性と、内的妥当性/外的妥当性というのがあるようです。
「内容的妥当性」は、テストの妥当性を、データーによってではなく、テスト項目の内容を専門家の目で判断することによって確認しようとする考え方です。
「内的妥当性/外的妥当性」の内的妥当性というのは、従属変数の変化の原因が独立変数の操作に帰せられる度合いを云います。実験の因果関係の立証を証明する時に、使います。

辞書で調べていた時に、たまたま、間違って引いて、見つけました。\(◎o◎)/!

これは、私も教えていただきたいのですが、『構成概念妥当性というのは、テストが測定を目指す概念に関する理論的予測が、実際のデーターによって実証されるかどうかで、テストの妥当性を評価しようとする考え方。予測の検証に役立つものは、すべて含まれる』とありました。ですから、15-18において、「有意に低下した」という表現がなければ、構成概念妥当性は支持されないということになるのでしょうか?  

基準関連妥当性ですが、これは、外的基準との相関によって評価されたテストの妥当性です。
 外的基準----テストの得点と、そのテストが測定しようとしている特性をテストよりもより忠実に反映していると考えられる尺度のことです。

○併存的妥当性というのは、外的基準の測定が、テストの実施とほぼ同時に与えられる場合です。例)簡単なペーパーテストと詳細な面接の結果とが高い相関を持つとき、併存的妥当性が確認されます

○予測的妥当性というのは、検査の結果と検査を実施してから、一定期間を経て得られた外的基準との相関関係の大きさをいいます。例)入試成績や、調査書は、入学後の成績を外的基準として、予測妥当性が評価されます。

統計は、難しい言葉がいっぱいで悲しくなります。
でも、ひろみさんに勇気をいただき、勉強する気になりました。
いつも、感謝!感謝!です。


投稿: サリー | 2004.09.25 23:12

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