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心理療法-箱庭療法

問題番号(年度-番号):5-82,6-60,7-83,8-76,9-74,10-85,11-61,12-65,14-71,15-77

H5年以降、毎年出題(H13は事例問題として)されている最頻出項目。と思ったら、河合隼夫がKalffに習って、日本に導入したのですね。

箱庭療法は1956年にJung, C. にセラピストとしての才能を評価されたKalff, D がLowenfeld, M. に世界技法を学んで考案した。
治療者は、クライエントが制作している間、最も自然にクライエントが感じられる位置にいて、なるだけ干渉せずに、受容的な態度で制作を見守る。
すぐれた点としては、言語表現が困難なクライエントにも適応可能である点。その表出されるものが、非言語的・無意識的なものを抽出しやすい点。箱庭を行うことがクライエントのカタルシスを簡便に促すという利点もある。他の療法に比較して触覚的、視覚的であり、クライエントが比較的中心におかれるといった特徴もある。
適応対象は年齢的に幅広く(3歳以上制限なし)、神経症、心身症、等にも適応例がある。統合失調症のクライエントには一般に不適とされる。

いつもと趣向を変えて、問題文の記述、正と誤に分けてみましょう。そうすれば説明不要、何が問われるかすべてわかると思います。

正:
H5-82
A.子どもに対する心理療法技法として始まった箱庭療法は、現在成人の心身症や人格障害、ときには精神分裂病にも用いられることもある。・・・?「ときには・・」なので、いいのでしょう。
B.箱庭療法を発展させたKalff, D. M. は、治療者・クライエント関係を重視し、両者の関係を「母と子の一体性」という表現で示している。
H6-60
Kalff による箱庭の治療過程:
動物・植物的段階-闘争の段階-集団への適応の段階
H7-83
C.クライエントが制作する作品を鑑賞するように見守るのが、臨床心理士の態度である。
D.作品ができ上がりかけてはそれを壊すことを繰り返す子どもがいたので、臨床心理士はその子どもに何か器質的な障害がある可能性もあるかもしれないと疑った。
H8-76
a.治療の最初のころの作品では、外的現実で演じている役割などの状態をよく表現しているが、次第に内的な問題を示すシンボルが現れてくる。
b.箱庭作品は、治療の過程で繰り返し制作され、その箱庭表現の流れを系統的に見ていくことで、一連のテーマを見いだすことができる。
d.箱庭作品に表現されているテーマが継時的に展開しないときには、制作者と治療者の関係が十分確立されていない場合や、治療者の感じているテーマが誤りである場合もある。
e.箱庭制作者は、自己表現である。治療者との信頼関係のもと、自らの世界を表現するその行動も、カタルシス効果を生み出している。
H9-74
A.箱庭療法で用いられる砂は、適度の心理的退行を促す治療的な素材であるが、その感触がまた、崩壊感を招く素材にもなる可能性を併せ持つ。
D.箱庭作品のより深い受容のためには解釈が必要となり、意味ある解釈には受容的態度が必要という、受容と解釈は相補的関係にある。
H10-85
A.砂は感触のよさから治療的退行を引き起こすが、自我の病理が思い人にとっては、崩壊感を引き起こす危険もある。=H9-74A
B.クライエントにとっては、少量の砂の方が作品を作りやすい場合があるので、容器を準備して砂の量を加減できるようにしておくとよい。
H11-61
b.箱庭療法は、「母と子の一体性」という表現に示されるセラピストとクライエントの関係性にもとづく。=H5-82B
c.箱庭療法で表現された世界の象徴的意味を解釈して伝えることは、必ずしも必要とされない。
d.箱庭の表現の段階として、Kalff, D. はNeumann, E. の考えにしたがって、1.動物的植物的段階、2.闘争の段階、3.集団への適応の段階として示した。=H6-60
e.箱庭療法では、セラピストは基本的に受容的態度に徹することを旨とする。
H12-65
b.水の使用に関しては、慎重な判断を必要とする。
c.箱庭の左側は、その人の内的世界・無意識的世界を、右側は外的世界・意識的世界を示すといわれている。
d.セラピストは、自由にして保護された空間を保障することが求められる。
e.作品をシリーズとして見ることによって、クライエントが変容と可能性を発展させていく方向に、より注目することができる。
H14-71
A.箱庭療法の基盤はクライエントとセラピストの人間関係であり、用具になるのではない。・・・H12-65aとの対比
H15-77
B.乾いた砂あるいは湿った砂のいずれを使うかは、クライエント次第である。・・・H10-85Cとの対比

誤:
H5-82
C.箱庭作品を解釈することは治療の流れをかわすことになるので、援助者(治療者)は解釈仮説をもたず、クライエントに自由で保護された空間を提供することが大切である。・・・???H12-65dから後半は正しい。前半の「解釈仮説を持たず」が誤りか。伝える必要はないが、持つことは必要なのでしょう。
D.箱庭表現を系列的にみていくことが、クライエントの理解を深めるために必要なので、できるだけ毎回作ってもらう方がよい。・・・?系列的にみるけれど、だからといって「できるだけ毎回」である必要はないのでしょう。
H7-83
A.作品を制作するのだから、クライエントに箱庭を作るように言って、臨床心理士は別室で記録を書くこともある。
B.クライエントが玩具を使用しないで、砂だけで作っているので、臨床心理士はクライエントに玩具を使用するように伝えた。
H8-76
c.箱庭作品が、了解困難な混乱した表現であっても、治療者は流れを妨げることなく、制作者の内的現実の表現としてとらえ、中止しない。・・・Clが統合失調症の場合、自己崩壊を招くので、中止する必要がある。
H9-74
B.箱庭表現は面接過程中に1回だけ導入される場合もあり、TATなどの投影法と同じように査定性も強く、心の全体的状況を知ることができる。・・・「査定性も強く」が間違い?
C.箱庭作品は、言語化が困難な内的世界からのメッセージを表現するものであり、適応範囲は神経症圏内はもとより分裂病の治療にも適している。・・・分裂病には適さない。
H10-85
C.砂の湿らせ具合は重要な治療的要因であるので、セラピスト自身がもっと適当な量の水を加えて準備しておかねばならない。
D.ミニチュアを使わずに砂だけを使って作品を作るのは、正しいやり方ではない。=H7-83B
H11-61
a.箱庭療法は、遊具の治療的性質に助けられ、誰にでも簡単にできる便利な方法である。
H12-65
a.遊具それ自体が治療的性質をもつので数多くの遊具を集めるのがよい。・・・H14-71Aとの対比
H14-71
B.箱庭作品を作らずに砂を触っているだけでは、箱庭療法とは言えない。=H7-83B、H10-85D
C.片づけはクライエント自ら行うことに成長促進的な意味があり、セラピストは観察していなければならない。
D.セラピストは箱庭作品から理解したことを解釈して伝えなければ、クライエントの心理的援助過程は進展しない。・・・H11-61cとの対比
15-77
A.砂だけで作られる作品は、箱庭作品とは言わない。=H7-83B、H10-85D、H14-71B
C.砂に手を触れる程度が大きいほど、クライエントの心的健康度は高い。
D.砂を箱から全部出してしまうことは、禁止事項である。

以上です。傾向はわかりましたねぇ。さすがに。でも、疲れました。(;´_`;)

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コメント

ありがとうございます。
すごい参考になります。

河合隼「雄」ですね。

投稿: 河野傑 | 2018.02.10 11:48

過去問を解いていたら、不明な点がありまして、教えていただけたらと思います。
15-77Cでは、「砂に手を触れる程度が大きいほど、クライエントの心理的健康度は高い」は×になっていますが、13-81事例で、クライエントの自我の健康状態を査定するには?で、選択肢A「砂を掘って川を作ったこと」が○になっています。これは、砂をいじる云々より、川のほうに健康状態を査定する何かがあるのでしょうか?箱庭は専門書を読んだ事がなく、どなたか御存知の方、ご教授願います。

投稿: poo | 2006.09.23 19:55

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