« しけしん臨床心理学編 | トップページ | 心理学の基礎-愛着 »

発達心理学-発達理論

問題番号(年度-番号): 3-3,3-8,4-10,4-12,5-15,10-18,11-2,13-2,15-3

長くなりますが、「しけしん 臨床心理学編」で叙述されている人物-発達理論を整理して書き出しました。羅列的なので、①全部を網羅していません、②内容が重なる記述があります。
(はじめから全体を把握しようとせず、重要部分の羅列を繰り返してだんだんと網羅的な内容を把握していくのが私のやり方です)

各理論の下に過去問解説があります。

発達理論
●Bowlby, J.
施設や病院などで養育された子どもの発達に関する研究に基づいて、養育者と乳幼児との親密で継続的な人間関係が精神衛生の基本であると指摘した。こうした関係が剥奪された状況は、母性剥奪(maternal deprivation)と呼ばれている。母性剥奪がもたらす影響の1つに、愛情遮断性小人症(deprivation dwarfism)がある。この症状の発現については、情緒的な緊張により脳下垂体からの成長ホルモンの分泌が抑制されるためという説明が提供されている。

「愛着」とはBowlbyによれば、特定の個体(たとえば母親)との近接を求め、またそれを維持しようとする傾向、あるいはその結果確立される情緒的絆のことである。さらに彼はさまざまな調査やマターナル・ディプリベーションの研究から、この傾向が学習性のものではなく、生得的なメカニズムであると考えた。

●Buhler, Charlotte(1893-1974)
400人以上のさまざまな階層の人々の伝記や自伝を分析して、人の生涯の発達段階を生物学的見地から5つに区分し、各段階において、生きるための目標すなわち「人生目標」をどのように自己決定するかを一種の発達課題として重視した。第4段階の成人後期は、設定遂行過去の人生目標に対して、自己評価(再評価)をする時期であるとした。

成長-頂点-低下の生物学的曲線に対応したパーソナリティー発達の過程を想定し、400人以上の人間の伝記、自伝をもとにして、人間の生涯を五段階に分類した。成人前期(25~45,50歳)では、職業、結婚、家族を実現させ、安定した適応をすることが目標であり、成人後期(45,50~65,70歳)では、これまでの人生目標を再評価することが新たな目標となるとしている。Jungと同様に、成人後期が人生の転換テントなるとみており、中年期の危機についての先駆的研究を行った。

●Curtiss, S.
ジェニーというなの少女について報告している。彼女は生後20ヶ月から小部屋に閉じ込められ、テレビもラジオもなく、周囲からはなしかけられることもほとんどない状況で育てられた。13歳7ヶ月で救出されたときには2-3語の発語しかできなかったが、その後、特別なプログラムによる補償教育を受け、語彙は少しずつ増加した。しかし発音面や文法面では、成人になってからも問題が残った。

●Erikson, E. H.
ライフサイクル説
全生涯を、新しい可能性を持った段階の連続とみなし、ライフサイクルを8段階に分けた。この理論では各発達段階には生活課題があり、次の段階に進むときに心理社会的な危機が訪れる。青年期の主たる課題は自我同一性の危機であるとされる。

人生を8つの時期に分け、各時期の発達課題をあげた。その中で、自我同一性を獲得した人の次なる発達課題は親密さ(親密さ対孤立)であり、配偶者と協力して子どもを生み育てることを通して人格的な成熟が達成されるとした。

中年期の課題として「生殖性」を挙げ、子の親として、あるいは社会じんとしての役割の重要性が増してくる中で、次の世代を担う者に対して援助や指導をしたり、知識や経験を与えたりするが、これらが欠如したり、あるいは避けて通ったりすると成長せず、また人間関係も貧しいものなり、停滞に陥るとした。

Freud, S.の「口唇期」は「基本的信頼対基本的不信」の時期であり、この危機を乗り越えれば、人間関係の基本となる「希望」という徳目が獲得できると主張した。
Freudの精神-性的発達段階説を土台にしているが、文化・社会的側面も取り入れて、生涯全体を発達段階の範囲に入れた。

早期幼児期の特徴
生後2~3年になると、子どもは運動能力、精神能力の発達や。探索や操作をする機会の増加から、自律・自己統制の感覚を獲得していく。この時期において、おだやかなしつけは自信を生み出すが、過度に抑えつけたり、子どもの探索活動を制限したりすると、自分の適切さに対する疑惑の感覚を生み出すこととなる。

●Freud, S.
精神-性的発達段階説
リビドーを中心概念にすえ、発達初期にはそれが口唇帯に集中することから「口唇期」を発達の第一段階とし、母親は生理的な欲求を満たしてくれるだけでなく、乳児の性感帯を刺激するゆえに重要であると主張した。

広義の性的エネルギーが向けられる身体部位が精神発達と強く関係する点に注目し、誕生から青年期までの発達段階を5つに分けた。この理論では、各段階で重要視される身体部位で得られる快感をどのように受け取るかが性格形成や人間関係の形成に影響するとされた。

●Gesell, A.
成熟優位説
胎児・新生児・幼児を観察して、成熟優位説を唱えた。そして子どもの行動観察に基づき年齢を基礎とする行動発発現目録をつくっている。また双生児法を使った研究を行ったことでも有名である。彼によれば発達は学習とは無関係に生起する成熟に支配されており、教育によってそれを助長することはできない。こうした考えから出たレディネスの理論(訓練や教育が効果を発揮するには、神経系の成熟によって適切な準備が整うのを待たねばならない)は、その後発達心理学に大きな影響を与えた。

●Harlow, H. F.
アカゲザルを対象に、出生直後からの社会的隔離の影響を検討した。その結果、社会的隔離は愛着行動・遊び・攻撃行動などの対して、深刻な影響を及ぼすことが示された。隔離の影響は非可逆的であり、生後6ヶ月から1年間隔離された個体は、より成熟した他個体と相互交渉させても、適応的な行動は増加せず、隔離の影響からの回復を示さなかった。

サルの代理母の実験から、愛着は単なる授乳より接触の快感が重要であることを示し、食欲が満たされることとは別に、接触によって安心するということも一次的な欲求になっていることが示唆された。すなわちSears, R. R.の愛着(Searsの言葉で言う「依存性」)の二次動因説を反証する結果となった。

●Havighurst, R. J.(1900-1991)
生涯発達段階説
身体面の発達と社会的期待からライフサイクルを6段階に分けた。この理論では各発達段階には個人がその時点で獲得しなければならない技能、知識、機能、態度があるとし、これを発達課題と呼んだ。
彼以降、発達段階やライフサイクルの考え方において「発達課題」という概念が重要視されるようになる。

比較行動学を理論的基礎として、生涯を6つの段階に分け、心理学的発達課題を明らかにした。それぞれの発達課題は、
乳幼児期: 歩くことと話すこと
児童期: 読み書き計算や友人関係
青年期(18~35歳): 親からの独立と職業の選択・・・結婚相手との生活、家庭、子どもを作ること、地位の確立
成人期(35~60歳): 職業生活や結婚への適応・・・子どもが成人になるように援助する、社会の中で市民として責任を持つ、職業生活で地位を得、それを維持する。余暇活動を広げる、人間として配偶者との関係を作る、身体の生理的変化に適応する、老いていく両親に適応する
中年期: 経済生活や子どもとの生活への適応
老年期: 収入の減少や健康の衰退への適応

●Hurlock, E. B.
運動発達が子どもの自己概念にとって重要であることを指摘している。運動技能が獲得されると、子どもは身体的な安定感を持ち、それが心理的な安定感になる。また、彼は逆に、子どもの自己概念が運動発達に影響を及ぼす場合が多いことも指摘している。
幼児の身体的コントロールの学習のためのレディネスを考える場合、行動に対する持続的な興味、および行動の実行に伴う進歩の有無が、レディネスの重要な指標となり、さらには自己概念にとっても重要であることを指摘した。

●Jung, C. G.
ライフサイクル説
人間のライフサイクルを太陽の運行になぞらえて4段階に分けた(?、4-10aの設問と矛盾)。この理論では人間にとって最も問題となる時期は成人前期と中期であり、最大の危機はその転換期にある。中年期の課題は人生の前半で排除してきた自分自身を見つめ、外的生活から内面生活に重きをおくことである。彼はこのプロセスを「個性化」と呼んだ。

パーソナリティーの生涯発達における中年期の課題を重視した。「人生の午後」である40歳に根本的な変化が始まるとし、ライフサイクルの後半にわたって進むこの発達過程を「個性化」と呼んだ。

人生を太陽の運行になぞらえ、40歳を「人生の正午」、それ以降の中年期を「人生の午後」と呼び、ここでの発達課題は、自己の人生や目標を振り返って再検討して、自己を受容し統合することであるとした。内面生活に重きを置き、体力や知力の減退を受け入れ、これまでに築いてきた経験と英知をもって自己の人生の意義を一層追求できるようになるとし、ここに始まる真の自己実現を「個性化」と呼んだ。 

●Lacan, J.
「鏡像段階」
乳児は、最初自分の全体像を知らない。「分断された身体」あるいは「漠然とした衝動のかたまり」として生きている。それが生後6ヶ月ごろから18ヶ月ごろにかけて、鏡に映る自分の姿と戯れ、かかわりを通して、徐々にそれがまぎれもない自分であることに気づき、自分の可視的、客体的全体像を把握するようになる。

●Leveinson, D. J.
ライフサイクル説
ライフサイクルを児童・青年期、成人前期、中年期及び老年期の4段階にわけた。この理論では各発達段階の特徴は、その時期におけるその人の生活の基本パタンや設計(生活構造)と密接な関係があり、次の発達段階へ移行するためにはそうした生活構造を根本的に変えなければならないとした。

個人の人生における内的な価値と、仕事や家族などの外的現実の両方を生活構造(life structure)という概念で統合し、その変遷によって成人期の心理的発達をとらえた。その中で、人生には、生活構造を形成する時期とそれを見直す過渡期があり、この過渡期において心理的危機が生ずるとした。

Freud, Jung, Eriksonなどの説を検討し、実証的にライフサイクル研究を行った結果4つの発達段階を見いだした。彼によればある発達段階から次の発達段階への移行は、個人の生活構造を根本から再構築することになるため、通常4,5年かかる。そのためにこにこの過渡期が危機的な時期となるという。

青年期以降の各段階では、生活構造が築かれる安定期と生活構造の見直しと修正を迫られる過渡期が交互に現れるとした。40歳ころから始まる「人生半ばの過渡期」では、身体の衰え、人生観の変化、能力の限界の認知などの内的変化と、子ども自立、社会での地位の変化などの外的変化により、適応的とは言えなくなった生活構造を変えざるを得なくなるとした。

●Luria, A. R.
言語の自己調整機能の実験
「光がついたバルブを押す課題の実験」によれば、幼児は年齢と共に自己の言語による行動のコントロールが可能になる。こうした言語発達は運動に関するコントロール機能の発達にとって重要な意味を持っている。

●Parten, M. B.
遊びの分類
①何もしない: 特に何かで遊ぶでもなく、何もしないで歩き回ったり、部屋の中を見回したりする。
②ひとり遊び: 他の子どもたちと関係をもとうとせず、1人で自分だけの遊びに熱中する。
③傍観: 他の子どもが遊んでいるのを見て、質問したり、遊びに口出ししたりするが、遊びに加わらない。
④並行遊び: 2,3歳~。他の子のそばで、同じような遊びをしてるが、相互に干渉しあったりはしない。
⑤連合遊び: 2,3歳~。他の子どもといっしょに1つの遊びをし、おもちゃの貸し借りがみられる。しかし、分業などはみられず、組織化されていない。
⑥協同遊び: 3,4歳~。何かをつくるとか、ある一定の目的のために、いっしょに遊ぶ、役割分担などの組織化がなされ、リーダーの役割を取る子どもが現れる。

●Piaget, J.
○感覚運動期
触ったりつかんだりする等の外的な活動によって外界を感覚する時期がはじめにあり、この時期には「同化(assimilation)」(=環境(対象)を既存のシェマに取り込む働き)と「調整(accomodation)」(=環境にあわせてシェマを変える働き)は相補的にはたらく。
○前操作期(4~7,8歳)の思考の特徴
「自己中心性(egocentrism)」とは自分自身の現在の立場からの見方、感じ方、考え方にとらわれる傾向。ものごとの1つの側面にしか注意が向けられず、他の側面を無視してしまう傾向もあるが、こちらは「中心化(centering)」と呼んだ。自己中心性という用語が単に「わがまま」とか「利己的」という意味に誤解されやすいため、今日では「中心化」という呼び方で一括することが多い。
→「液量の保存」問題、「3つ山」問題
○具体的操作期(7,8歳~11,12歳)になると、ものごとを多面的・総合的にとらえて、組織的で論理的な思考ができるようなってくる。これを「脱中心化(decentering)」という。ただし、この具体的操作期では、そうした論理的な思考は具体的事物や具体的な状態についての課題に限られる。

●Rosenzweig, M. R.
刺激が豊かな環境と乏しい環境を構成し、ラットへの影響を検討した。豊かな環境とは玩具がある広いケージで、多くの他個体と一緒に育てられることであり、乏しい環境とは玩具などのない狭いケージで、一匹だけで育てられることである。その結果、豊かな環境で育ったラットの脳では、グリア細胞が増え、神経細胞の樹状突起が成長し、脳皮質の厚みや重量が増大していた。
しかし屋外の自然に近い状態で飼育したラットの方が、さらに脳の発達がよかった。自然の生育環境に比べれば、「豊か」とはいえ人工的な環境はまだまだ「乏しい」ものだったのである。
→P-Fスタディの開発者であるRosenzwig, Saul とは別人

●Vygotsky, L. S.(1896-1934)
子どもが何かをつかもうとして手を差し出すが、取れないでいるのを母親が助けるとき、子どもの「手を差し出す」という身ぶりは、母親により「物を取って」という指示として意味づけられたといえる。この段階では子どもの内部には、まだ母親の意味づけが内面化されていないが、やがて身ぶりと意味が内面化され、自覚的な指示身ぶりになる。
親や発達のより進んだ者との相互作用が、子どもの発達可能性を促進すると考える。「発達の最近接領域」の概念などはこの考えをよく表している。

●Werner, H.(1890-1964)
「相貌的知覚」
幼児の知覚は、情緒や欲求と未分化であるために、事物を客観的に知覚することができない。横に倒れている椅子を見て「椅子がネンネしている」と言ったりするように、事物をいきいきと相貌的に知覚する。また音を聞くと同時に色が見える、色に寒さや暖かさを感じるなどのように、異なる感覚が入り混じる共感覚も幼児の特徴である。

3-3
上記の理論から c が明らかに不適切です。

3-8
・・・Piagetが行った量の保存の実験

4-10
a→○・・・Jungはライフサイクルを4段階に分けたという見方もあるが、それほど明確でなかったのか?
b→○・・・常識的に
c→○・・・上記各理論より
d→×・・・上記各理論よりあり得ない
e→○・・・Levinsonの記述参照

4-12・・・難問です(^◇^;)
あやまった記述であるeについて
Luriaの実験:
「赤ランプがついたらバルブを押す」「緑ランプがついたら押さない」という課題について、3,4歳の幼児えは、一回ごとに実験者が「押す」「押すな」と言語で命令すれば、それに会わせてうまくできる。しかし幼児が自分自身に言語で命令するようにやると、うまくできない。5,6歳をすぎると、内言が発達し、言語の自己調整機能が獲得される。すると外部からの命令がなくても、内的な自己調整を通じ、意図的に行動をコントロールできるようになる。
→問題文のような「言語発達は言語行動の学習である」という考えはないようです

5-15
a→思春期前期の特徴
b→幼児期(1~6歳)
c→ギャングエイジ、児童期中期~後期
d→Piagetの形式的操作期(12~13,14歳)
e→児童期?

10-18
A・・・「道徳性」からPiagetは×、「6つの段階」からEriksonも×
B・・・モデリングといえばBandura→AはKohlbergに決まる
C・・・分裂・妄想的態度といえばKlien
D・・・以上から答えはd、従ってDはBlos

11-2
cの「相貌的知覚」はWerner, H

13-2・・・超難問です。σ(^◇^;) どなたか教えてください。m(__)m

15-3
A・・・Vygotskyは親や発達のより進んだ者との相互作用が、子どもの発達可能性を促進すると考えた。→×
B・・・Piagetは子どもが外界に働きかけることによってシェマを獲得していく過程を重視した。→×
C→○
D・・・Bronfenbrennerはしけしんにも出てきませんでした。(^_^; A~Cより正解はeよってDの記述は→○


|

« しけしん臨床心理学編 | トップページ | 心理学の基礎-愛着 »

過去問の解説-心理学基礎」カテゴリの記事

コメント

ひろみさん、いつも勉強の参考にさせていただいています。
さて、13-2、表情の発達にかんする問題についての私の考えです。

まず、Aについてはオーストラリアの比較行動学者アイブル=アイベスフェルトが、先天的に盲目の子どもが7種類の表情を持っていることを確かめています。このことから、Aは一番最初に獲得される(というか、生得的に基本的な表情の類型は持っている)ということが言えます。
Dはエインスワースの「生後1年の乳児の愛着タイプが4類型に分けられる」という理論にかかわりがあるように思いますので、これは生後12ヶ月の時点をさしていると考えられます。
次のCは、マーラーの言う「再接近期」、すなわち生後15~20ヶ月の時点で、外界の中に親を1人の独立した個体として認知しはじめる時期のことを指しているのではないでしょうか。
Bの自己認識の成立に結びついた感情の表出が最後であることは何となく分かるのですが、これといった根拠を見つけることはできませんでした。強いて言えば、以下のような実験結果があるのですが…。
「ルージュ課題」と呼ばれる実験の中で、自分の鼻に口紅をつけられた子どもが鏡を見せられたとき、おおむね1歳半~2歳になると自分の顔というものを認識できるようになった(「自己意識の心理学」東京大学出版会 より引用)

投稿: はる | 2005.09.08 22:32

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/20225/1408202

この記事へのトラックバック一覧です: 発達心理学-発達理論:

« しけしん臨床心理学編 | トップページ | 心理学の基礎-愛着 »