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2004.09.19

心理学の基礎-防衛機制

問題番号(年度-番号): 5-27,10-26、11-83

「しけしん」のまとめです。
●Freud, S.の提唱した自我防衛機制(defense mechanism)
生後3~4年から始まるエディプス期における異性の親への愛着及び同性の親への敵意や競争心に対する防衛としての抑圧(repression)は最も早く示されたが、当初は「防衛」と「抑圧」(repression)が同義とされてい。「抑圧」が発見されたのはヒステリーの治療経験から。1926年の著書において「抑圧」が「防衛」から分離して明確化された。
Freud, A.はは先にFreud, S.が明らかにした「退行」「抑圧」「反動形成」「隔離」「打ち消し」「投影」「取り入れ」「衝動的な自己自身への向き換え」「転倒」に加えて「昇華」を加えた10種類の防衛機制を分類した。

●原始的防衛機制
原始的理想化の基本機能は、外的対象を非現実的に「すべて良い対象」とみなすことによって、そこに「悪い」側面が侵入し、その対象を汚濁してしまうことを防止することにある。これを原始的防衛機制のひとつとして明確化したKlein, M. らは、理想化という用語を用いていたが、1960年代以降の、境界例を始めとする神経症レベル以下の人格障害に対する関心の高まりのなかで、Kernberg, O. によって原始的理想化として再定式化された。

●退行(regression)
現在の状態より以前の状態へ、あるいはより未発達な段階へと逆戻りすること。この用語は、Freud, S.によって当初心的装置に関する局所論的な意味で使われていて
、発達的な意味はなかった。Freud, A. は退行は他の防衛機制と組合わさって使われるのが普通で、他の防衛機制とそれほど明確に区別できないとした。
治療の中で被分析者が全体的な幼児的退行状態に至るまでの様子を記述する中で、治療の中で重視すべき概念としたのはWinicotto, D. W. やBalint, M.など。これは「治療的退行」と呼ばれ、患者が治療によって抱えられることによって病的な状態と健康な状態を橋渡しするものであるため、治療にとって不可欠であると考えられている。

●知性化(intellectualization)と合理化(rationalization)
知性化とは、主として性的または攻撃的な欲求・衝動・感情を、直接表現したり解放したりするのを避けて、これらを抑圧し、知的認知や観念的思考によって統制しようとする防衛機制である。
Freud, A.合理化を、知性化がという防衛が不安定になったり弱くなったものをみなし、知性化の場合には、防衛されてる感情や欲動が分離されるとともに、知性化の過程事態がこれらの代理満足を兼ねているのに対して、合理化の場合には、防衛される感情や欲動が十分に分離されないままに正当化されるものであるとした。

●否認(denial)
「否定」とも言う。外的な現実を拒絶して、不快な体験を認めないようにするはたらき。「抑圧」が内からの脅威に対する防衛であるのに対し、外からの脅威に対する防衛であるところが特徴。「子どもが不治の病である」と知らされても親が信じようとしない場合などがこれにあたる。

●反動形成(reaction-formation)
衝動や願望が意識化されないように、その衝動や願望と反対方向の態度が過度に強調されること。友人に対して腹が立つことがあり、批判したり非難していたにもかかわらず、本人の前では親切なやさしい接し方をするなどがこれにあたる。

●打ち消し(undoing)
過去の思考・行為に伴う罪悪感や恥辱の感情を、それとは反対の意味を持つ思考ないし行動によって打ち消そうとするはたらき。「否認」は単に外界の不快・恐怖から回避することであるが、「打ち消し」は、やりなしたり償おうとするところが特徴。何度も手を洗うなどのいわゆる強迫神経症者の行為は、典型的な打ち消しであると解釈される。
→11-83では強迫神経症の防衛機制は「置き換え」になっています。

●補償(compensation)
アドラーの提唱した概念、自分の弱点をカバーするために他の望ましい特性を強調すること。劣等感に由来する心的緊張を、他の側面で優れることにより解消しようとする機制。

●昇華(sublimation)
社会的に容認されない衝動を、社会的に容認される形に変形させて表出させること。攻撃衝動の強い人が、スポーツ選手や外科医になる、レオナルド・ダ・ビンチが自分の同性愛的衝動を芸術に表現に昇華して「モナ・リザ」を生み出した(フロイトの解釈)など。

●置き換え(desplacement)
自分の衝動や願望をある対象(その衝動の原因となった対象)に向けることがなんらかの理由で容認されない場合、その衝動を他の対象に向けること。自分の感情は理解しているが、それを生じさせた対象を誤る過程。たとえば上司に怒られた人が部下に対して攻撃の矛先を向ける場合など。

5-27
・・・上記説明を参照

10-26
A・・・自己や対象を分けるのは分裂(splitting)、隔離または分離(isolation)とは、ある観念内容に伴っているはずの感情を切り離し遠ざけること。→×
B→○
C・・・この記述は「反動形成」、「置き換え」とは衝動などを向ける対象を変えてること。→×
D→○

11-83

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