心理学の基礎-愛着
問題番号(年度-番号): 8-19、12-18
●乳幼児の実験的観察で用いられる実験技法
○選好注視(preferential looking)法
乳児の眼前に2種類の視覚刺激を提示して、乳児の刺激注視時間を測定することで、乳児の視覚刺激の検出能力や弁別能力を明らかにする。この技法は嗅覚、聴覚などの他の知覚刺激の弁別力を測定するために転用可能であるとされている。
Franz, R. L. らによって開発された方法。より複雑な図形(人の顔に似た図形など)を注視する時間が長いという結果がよく知られている。
○馴化-脱馴化(habituation-dishabituation)法
同じ刺激が繰り返し提示されると、その刺激に対する反応の強さが減少し、別の全く異なる刺激にさらされると、反応が再び強くなる現象を用いて、乳児がどのような刺激を弁別するかを測定する。刺激がどのように知覚されているかはわからない。
○見本合わせ(matching-to-sample)法
まず「見本」を提示し、次にいくつかの「選択肢」を提示して、「見本」と同じものを選択させる方法。刺激の弁別能力やルールを学ぶ能力、ワーキングメモリなどさまざまな要因を組み入れて課題を作ることができる。知能検査でもしばしば用いられている。しかし「社会性の発達を評定」するものでない。
○ストレンジ・シチュエーション(SS)法
Ainsworth, M. D. S.によって開発された、愛着の質を測定する方法。プレイルームにいる乳児に、養育者(しばしば母親)との分離や、見知らぬ他者と対面させる場面をつくる。そこで乳児の反応・行動を組織的に観察し、その個人差をAタイプ(回避型)、Bタイプ(安定型)、Cタイプ(アンビバレント型)に分類する。
●愛着のタイプの特徴
○Aタイプ(回避型)
子ども: 親との分離に泣いたり混乱を示すということがほとんどない。再開時には親から目をそらしたり、明らかに親を避けようとする行動がみられる。親がだっこしようとしても子どもの方から抱きつくことはなく、親がだっこをするのをやめてもそれに対して抵抗を示したりはしない。親を安全地帯として(親と玩具などの間を行きつ戻りつしながら)実験室内の探索を行うということがほとんど見られない(親とはかかわりなく行動することが相対的に多い)。
親: 「拒否」が特徴。子どもの苦悩を無視する親。養育システムを活性化することができておらず、自己や子どもについて、「養育者として望ましくない」「親としての役割が十分とれない」「期待のもてない子」「親の世話に十分応えることがない子」などと述べ、子どもに限られた保護しか与えていない。
○Bタイプ(安定型)
子ども: 分離時に多少泣きや混乱を示すが、親との再開時には積極的に身体接触を求め容易に落ち着く。実験全般にわたって親や実験者に対して肯定的な感情や態度を見せることが多く、親との分離時にも実験者からの慰めを受け入れることができる。また、親を活動拠点として積極的に探索活動を行うことができる。
親: 「安全基地」の機能。バランスのとれて柔軟な思考により、自己や子どもに対して現実的・肯定的な態度を保ち、子どもの安全を脅かすような事柄には、その子の個性や発達的な必要性に応じて十分配慮できる。
○Cタイプ(アンビバレント型)の子ども
子ども:分離時に非常に強い不安や混乱を示す。再開時には親に強く身体接触を求めていくが、その一方で親に対して怒りを示し、また激しくたたいたりする。ストレンジ・シチュエーション全般にわたって行動が不安定で随所に用心深い態度が見られ、親を安全地帯として、安心して探索行動を起こすことがあまりできない(親に執拗にくっついていようとすることが相対的に多い)。
親: 「不確実さ」が特徴。子どもへのネガティブな評価を防衛的に分離。そのため、自分の子どものことを「問題のない子」「正直な子」「感受性のある子」などと述べる。しかし、インタビューを続けていると、突然、否定的な評価がでてくる。そして、子どもの行動の原因についての理解が混乱、不確かで、子どもに対して限られた保護しか与えていない。
○Dタイプ(無秩序型)
A,B,Cの従来タイプにあてはまらない愛着カテゴリー
親: 「無力感」が特徴。「混乱した養育」の表象モデルを抱えており、そのため、子どもへの適切で効果的な関わりが欠如しており、親自身が無力さや「どうしようもない」という感覚を抱えている。したがって、その養育システムは無効なものとなっており、子どもとの関係は混沌とし、役割が逆転してしまっている。その背景に、親自身が未解決のトラウマを抱えていることがあり、そのためにトラウマに脅かされ続けており、子どもといる場で子どもを脅かす行動をしてしまう。(たとえば、子どもの泣き叫びが、親を呼び寄せる機能を果たすのではなく、親に攻撃を向けてくるように感じつられたり、挑戦的な態度として受け取られたりしてしまうことも生じるため)
8-19
a→○
b→○
c→×・・・Bowlbyが行ったのは施設児の研究
d,e→?・・・cが×なので○
12-18
a・・・Bタイプ→○
b・・・Aタイプのようです→○
c→○
d・・・愛着のタイプが確定するのは24ヶ月以降、ただし8-19から愛着が形成され始めるのは12ヶ月(?)以降。→×
e→○
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