teddyさんからの質問H10-25
teddyさん、質問をありがとうございます。新規記事としてお答えします。(9/25)
ようこさんからさらにご質問をいただいたので、数字も書き加えます。(10/2)
H10-25は統計に分類していいものか、発達の方にしようか迷いまして、解説遅れてました。
手順としては、表→問題文ではなくて、問題文→表がいいと思います。
でも、時間がなかったりあせってしまって考えがまとまらないときは、遺伝要因と環境要因の一般的知識で答えてしまうのも一つの手かと思います。(たとえば、H12-22の記憶の文脈効果についての問題も、表を読まなくてもも解答できます)
a.環境の影響は情緒的安定性の方に強く表れる
・・・環境の影響を見るので、「一緒に養育された一卵性」と「別々に養育された一卵性」を比べます。30代では、外向性、情緒的安定性の双方に同程度に環境の影響があるといえます。60代では情緒的安定性の方に、環境要因が働いています。しかし「強く表れる」というほどではないでしょう→×
具体的には30歳代の場合:
外向性・・・一緒一卵:0.51、別一卵:0.39
情緒的安定性・・・一緒一卵:0.48、別一卵:0.39
なので、環境の影響に差がない
60歳代では
別一卵の外向性・・・0.53
別一卵の情緒的安定性・・・0.45
外向性と情緒的安定性との間ではわずかに差がある。
また、一緒一卵の外向性と別一卵と変わらなくなっている(0.54と0.53)のに対し
情緒安定性は一緒一卵:0.51なので、別一卵との間に差があるので、まだ環境要因に影響を受けていると言える
しかしその差は「強く表れる」というほどではない
b.発達とともにパーソナリティーに対する遺伝的要因の影響は弱まる
・・・「別々に養育された一卵性双生児」を見ます。加齢によって、むしろ遺伝要因が強まっています→×
具体的には
外向性:30歳代:0.39→60歳代:0.53
情緒的安定性:30歳代:0.39→60歳代:0.45
つまり相関が上がっている
30歳代で相関が低かったのは環境要因が働いていたためであるが、その影響が少なくなってきて遺伝要因が強まっていると言える
c.パーソナリティーへの遺伝的規定性は約50%である
・・・説明率というのでしょうか、相関の2乗によって求めますので、50%という数字は出ません。ただ「一緒に養育された一卵性」「別々に養育された一卵性」の間で、60歳代では外向性、情緒的安定性の相関の差がなくなってきていて、その数値はどの場合も0.5程度です。つまり遺伝による規定性は約25%といえます。→×
d.養育環境よりも遺伝的要因の方がパーソナリティーに与える影響が強い
・・・「別々に養育された一卵性」と「一緒に養育された二卵性」を比べれば、遺伝要因の方が強いことがわかります→○
具体的には30代の外向性
別一卵(遺伝要因同じ、環境要因違う):0.39
一緒二卵(遺伝要因違う、環境要因同じ):0.18
なので、遺伝要因が同じ場合が環境要因が同じ場合よりも相関が高いので、遺伝要因の影響が強いと考えられる。この差は60代でも、情緒安定性においても、同じように見られる。
e.環境的要因はパーソナリティーに対してほとんど影響を持たない
・・・「一緒に養育された一卵性」「別々に養育された一卵性」を比べます。30歳代では、外向性、情緒的安定性とも「一緒」「別々」との間で差があるので、環境要因が影響を与えているといえます→×
たとえば具体的には30代で
一緒一卵の外向性(遺伝要因同じ、環境要因同じ):0.51
別一卵の外向性(遺伝要因同じ、環境要因違う):0.39
環境要因が影響を与えないならば、数値は同じになるはずだが、環境要因が働いた場合に違いがでるというのは、環境要因が働いているということ。情緒安定性についても、30代では同様の差が見られる。
言葉で書くとごたごたしました。わかりますでしょうか。(^_^;
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コメント
双生児法について質問です。
ひろみさんの解説を読みながら、表の中のどの数字とどの数字をどのように比べればいいのか教えてください。
過去問にはなかったけど、去年出たそうなので念のため理解しておきたいです。
投稿: ようこ | 2004.10.01 23:25