社会的態度
社会的態度とは、人の社会的行動を予測、説明するために提出された仮説的構成概念であり、単に態度とも呼ばれる。態度の定義は研究者によって異なるが、Allport, G. W. によれば、「経験を通して体制化された精神的、神経的な準備状態であり、個人にかかわりを持つあらゆる対象や状況に対するその個人の反応に、指示的ないし力動的な影響を及ぼすもの」である。
態度の機能(Katz, D. )
①適応機能(adjustment function)
態度が指し示す行動をとることで、快や報酬を最大化し、苦痛や罰を最小化しようとする。好きなものに接近することで快を得たり、嫌いなものを回避することで苦痛から逃れることができる。態度に従って行動することでの環境への適応。
②自我防衛機能(ego-defensive function)
自我をおびやかす内的葛藤を処理するはたらき。望ましくない自己の姿を直視する苦痛から、自我を保護するしくみ。たとえば人気があるクラスメイトを好きになれないとき、それを認めてしまうとクラス内での自分のいごこちが悪くなる。そこで投射が起こり、人気のあるクラスメイトが自分を嫌っていると思う、など。
③価値表出機能(value-expressive function)
自己概念の妥当性を確認し、自尊感情を高めるはたらき。たとえばリサイクルの重要性を強く感じている人が、ペットボトルの回収促進の肯定意見を主張する。これにより自己像を再確認し、また「みずからの信念を追求している自分はすばらしい」と自尊感情を高揚させることができる。
④知能機能(knowledge function)
複雑な社会を理解し、効果的な対処を可能にする判断の枠組みを提供する。たとえば「自分はリベラリストである」などのように、ある立場を取ることによって、その視点から複雑に変動する社会が整理され、首尾一貫したものとして認識できる。
※同じ態度であっても個人によって異なる機能を果たしていることがありうる。
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コメント
突然失礼します。
現在大学で臨床心理学を専攻している白衣と申します。
こちらのブログにある、社会心理学関連のページを書くのに参考にしている本などがあったら、教えていただきたいです。
投稿: 白衣 | 2015.12.12 22:44