心理学史-James と機能主義
James はアメリカ最初で最大の独創的な心理学者。Wundt, W. の心理学が感覚生理学への傾斜を示したのに対し、James の心理学はむしろ生物学への傾向を示し、心を人間への有用性において捉えることをめざした。
機能主義心理学は心的要素ではなく心的作用あるいは意識の効用の学であり、Titchener, E. B. の構成主義と激しく対立した。
James, W. (1842-1910)
意識を静的、固定的にではなく、変化の相において「流れ」としてとらえる。『心理学の原理』(1890)
情動の末梢起源説(ジェームズ=ランゲ説)・・・悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ
『頻出問題』の記述
意識は、断片に分かれて現れるのではない。〈連鎖〉や〈連結〉は、意識がまず現れる最初から、それを記述するのに適当な言葉ではない。それは、つなぎあわせたものではなく、流れるのである。〈川〉あるいは〈流れ〉というたとえが、一番自然な記述である。以下、我々は、思いの流れ、意識の流れ、主観的な生の流れと呼ぶことにしよう。(p.16)
情緒は身体的変化の知覚の結果から生じてくるものであり、情緒の認知あるいは経験は二次的なものであると説いた。(p.16)
機能主義心理学
シカゴ学派
『頻出問題』の記述
環境に対する生活体の適応を主な研究対象とし、内観法を重視した。
Dewey, J. (1869-1952)
Angell, J. R. (1869-1949)
Mead, G. H. (1863-1931) ・・・客我と自我
コロンビア学派
Cattell, J. Mc. (1860-1944) ・・・精神検査、メンタルテスト
Thorndike, E. L. (1874-1949) ・・・個人差、教育測定
Woodworth, R. S. (1869-1962) ・・・動因、Allport, G. W. への影響
構成主義が意識の内容および構造を対象としたのに対して、機能主義は意識の作用や効用に着目した。すなわち環境への適応という観点から意識を説明することだった。主たる研究方法は初期においては内観法であったが、後には客観的観察法や実験等の比重が高まった。そして必然的に「行動」を研究対象に含むようになり、 Thorndike, E. L. の動物を対象とした学習心理学に発展し、Watson, J. B. の行動主義の母胎となった。
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