生理学-脳、神経
『頻出問題』は「神経細胞」から始まっていますが、過去問で出題されたことがないので、読んでおいてください。
2の「神経系の機能」から始めます。
過去問における「脳」に関する問題は(年度-番号):
6-17,7-15,10-9,12-10,14-7,15-16
です。
『頻出問題』には脳の各部位の説明がありますが、図がないのでわかりにくいですね。私は『キーワード・コレクション』のp.180やp.284で脳の図を見ながら説明を読んでいます。
『頻出問題』説明のまとめ
脳
(1)脳幹・・・延髄、橋、中脳(網様体賦活系、視床下部調整系)、間脳(視床と視床下部に分かれる、視床下部には摂食中枢がある)をあわせて脳幹と呼ぶ。脳の中心、キノコに見立てた場合の軸の部分。呼吸、心臓、体温調節、摂食、摂水など、生命維持に必要な自立機能をつかさどる。視床下部には摂食中枢がある。間脳は自立機能の中で高次の機能に関与。
(2)小脳・・・不随意運動の統合器官
(3)大脳・・・左右に分かれて脳梁で連絡している
①大脳基底核・・・脳幹に接する部分。不随意運動や情動の発現に関わる
②大脳辺縁系・・・一部の大脳基底核や大脳新皮質を含む、両者の中間的な機能を持つ系、本能の座。海馬は情動と記憶(一般的な事象を長期記憶として新皮質へ送り込む働き)に関係→説明を読んでも私にはどの部分かよくわかりません。大脳新皮質がキノコの傘で、フィットするように脳幹を取り巻いているならば、その端ぐるりの部分でしょうか?
③大脳新皮質
後頭葉・・・ほぼ全域が視覚に関係
側頭葉・・・聴覚に関係、海馬に接する部分が記憶に関連、左半球のウェルニッケル野は感覚性言語(文法や文脈)をつかさどる
頭頂葉・・・体性感覚(もっとも前部)や認知機能、左半球のブローカー野は運動性言語(言語表出)をつかさどる
前頭葉・・・随意の体性運動、意志や思考など高次の機能
自律神経(植物性機能を持つ)
交感神経(すべて脊髄神経)・・・身体の激しい活動に適した機能、内臓の働きを抑制、アドレナリン作動性神経(心拍数の増加)
副交感神経(脳神経と脊髄神経がある)・・・身体活動による体力消耗を回復させる機能、内臓の働きを促進、コリン作動性神経
→過去問11-16C
心臓の拍動は、交感神経の働きによって増加し、副交感神経の働きによって減少する→○
内分泌系(過去問関連のみ選びました)
副腎髄質から・・・アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン・・・心拍数の増加、血圧上昇作用
→過去問11-16D
ストレス状態になるときは、副腎皮質からのアドレナリン分泌が盛んになる→副腎髄質からなので×
『頻出問題』の記述から
前頭前野は思考や意志など、最も高等な機能を持つ部位であり、系統発生的にも個体発生にも最も発達する部位である。(p.37)
交感神経は一般にアドレナリン作動性であり、副交感神経は一般にコリン作動性である。(p.39)
大脳辺縁系では情動を喚起させ、その活動水準の高低によって情動の強度の決定に関与している。(p.39)
過去問解説
6-17
a.新しいことが覚えられない→大脳辺縁系、海馬の損傷による
b.積極的な意欲や創造性→前頭連合野
c.食欲→視床下部
d.言語の理解→側頭葉左半球のウェルニッケル野
e.認知→頭頂葉
7-15
A.前頭連合野は遅延反応に関連→○ ※遅延反応についてはいちおう調べています。過去問解説を見てください。
B.右利きの人の言語野は左半球→○
C.新しい記憶を長期記憶にするのは海馬の働き→×
D.積極的な意欲や創造性は前頭連合野→×
E.小脳は不随意運動に関わる、本能の座は大脳辺縁系→×
10-9
A.7-15B参照→○
B.7-15C参照→×
C.7-15D参照→×
D.視覚情報はすべて後頭野の一番後ろの一次視野(右視野の情報→左の後頭野、左視野の情報→右後頭野)に入り、前側に情報が送られていく→×
12-10
A.10-9D参照→×
B.10-9D参照→×
C.7-15C参照→○
D.7-15D参照→○
14-7
A.→○
B.10-9D参照→×
C.7-15C参照→○
D.言語野は左半球→×
15-16
A.側頭野は聴覚に関連→○
B.10-9D参照→○
C.7-15C参照→×
D.7-15D参照→×
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コメント
はじめまして!お世話になってます、今年受験します。よろしくお願いします。
脳は興味があっても難しくて・・・。
それで、今大阪で開催されている「脳!内なる不思議の世界へ」特別展に行ってきました。思い切って広島から、新幹線で行ってきました。
ひろみの部屋でしっかり勉強していれば、確認程度の内容だったかもしれませんが、私には勉強になりました。近くに住んでらっしゃる方は是非行かれては。5月13日まで開催だそうです。
「脳コレ(コレクションだそうです)」というだけあって、ミミズの脳・神経からナガスクジラの脳とかかなりの数の展示もありました。
また、南方熊楠さんの脳も展示されていました。
(臨試とは関係ないし、期限もあることなので、削除してくださって結構です。)お世話になっているので、たまにはお礼の気持ちを伝えたくて関係ないことで出てきてしまいました。
何しろ覚えることでいっぱいの状態なので、書き込みできる知識もないもので・・・。
投稿: くみ | 2007.04.15 13:27
ゆら。さんこんにちは。説明ありがとうございます。嬉しくなります。
『頭頂連合野は、空間を認識するところである』(正解)というのは、今年の問題に出ましたよね。
認知に関しては、側頭連合野も関係しています。図形などを意味のあるものとして捉えるのが、側頭連合野です。何を見ているかをわからせるところが、後頭連合野とあります。ですから、6-17eのような表現では、問題として、はっきりわかりにくいと感じています。(問題の主旨である前頭連合野ではないということはわかりますが・・・)認知に関しては、複合的に関係するので、出題しにくいのではないでしょうか?
もし、来年度、脳の問題が出るとしたら、ウェルニッケとブローカーは、チェックかなと思っています。
脳と五感の関係などと言うのは、どうでしょうか
聴覚→側頭葉
臭覚→前頭葉
触覚→頭頂葉の体性感覚野
視覚→頭頂葉、側頭葉、後頭野
味覚→不明
(前述の本にありました)
私は、顔の絵を書いて、覚えました。鼻は前に突き出ているので、前頭。耳は横にあるので、側頭。皮膚は、はげ頭で頭頂。というふうに覚えると簡単でした。(^ム^)
投稿: サリー | 2005.01.21 21:45
ただいま〜講義から戻ってきました。
国試前の補講だったので、相当エネルギー使いましたぁ。全員合格できるといいな〜。(あ、ちなみに歯科衛生士の専門ガッコです)
さて、気がついたとこから、補足します。
サリーさんが最後に書いてらっしゃいますが、ブローカ(Broca)の言語野は左前頭葉(44野45野)です。ここは運動野なので、言語の表出に関連します。ブローカ失語(運動性失語)は、発話は非流暢でゆっくりゆっくり苦労しながら話し、発話量は少ないのが特徴です。
それからウェルニッケ(Wernicke)野(22,39,40野)は、ひろみのさんの書いてる通り側頭葉です。でも詳しいテキストになると側頭葉と頭頂葉にまたがるとも書いています。そのため、ウェルニッケ失語の病巣は側頭葉だけに限らないことがあります。ウェルニッケ失語は、発話は流暢だけど、錯語が目立ち、発話全体の意味が不明(ジャルゴン)なこともあり、比較的多弁というのが特徴です。聴覚連合野(22野)と重なる部位なので聴覚的理解も乏しいことが多いです。
それと、サリーさんの書いてらっしゃる内分泌(ホルモン)ですが、
副腎髄質→アドレナリン
副腎皮質→コルチコイド(他)
コルチコイドの中でイチバン多いのが、ストレスホルモンとして知られているコルチゾールです。作用はいろいろありますが、サリーさんの書いているストレスへの抵抗作用のほかに、長期的(または大量)に分泌されると免疫反応を低下させていまいます。
コルチゾールって、ストレスに対抗するためにはなくてはならないヤツなんですが、大量に投与(または長期に分泌)されると病気のもと(高血圧、血糖値上昇とか免疫力低下)になってしまうですよねぇ。なんでもバランスが大事ってことですね。
投稿: ゆら。 | 2005.01.21 18:16
★ひろみさんのエネルギーをいっぱいいただいて、試験前に頑張ったのを思い出しました。
この辺は、ごちゃごちゃして、覚えにくいですよね。個人的には、好きな分野ですが(~_~;)
★ストレスのことについて、補足させてください。試験前に、レスしたものが不十分だったのが、気になっていました。
自律神経系が短時間の速い調整を行うのに対して、内分泌系は長時間にわたるゆっくりとした調整を行います。
ストレス状態が加わると、交感神経系の機能亢進による短時間内の適応反応が起こります。心拍数が上がったり(ドキドキする)。冷や汗をかくなど。これらは、交感神経の刺激により、副腎髄質からアドレナリンを分泌させることによるものです。しかし、ストレスが持続すると、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、続いて副腎皮質から、副腎皮質ホルモン(コルチコイドなど)が分泌されます。これによって、生理的資源が動員され、身体各部に適応反応が生じ、長時間にわたってストレスに対処することが可能になります。
ですから。ストレスに関しては、
副腎髄質→アドレナリン
副腎皮質→コルチコイド(他)
と覚えておけば、大丈夫かな?と思います。まだ、不十分かも知れないので、補足お願いします。!(^^)!
★脳のしくみは、図解がいいですよね。
『図解雑学 脳のしくみ(岩田誠)』がお勧めです。子供でも楽しめて読めます。昔、試験とは関係なく買った本でしたが、役に立ちました。
★この本を見ると、6-17eは、後頭連合野に。
ブローカ領野は、左半球の前頭連合野になっています・・・
投稿: サリー | 2005.01.21 15:32
ゆら。さん、いらっしゃい。お久しぶりです。
さっそく、適切な補足ありがとうございます。なるほど!とさらにかしこく☆なったみたいに感じます。(^_-)v
これからもよろしくお願いします。
投稿: ひろみ | 2005.01.21 12:28
おひさしぶりです。ゆら。です。
ひろみさん、勉強部屋パワーアップしてますね!久々に来たら、内容の濃さにびっくりしました。ほんとひろみさんすごいです。
たまたま今日私は専門学校で生理学の講義なんです。こちらを覗いたら生理学ということなので、GOODタイミング!
大脳辺縁系+αについて、少しコメントさせていただきます。
大脳辺縁系というのは、
記憶の入り口と言われる海馬
怒りや恐怖、快感など情動を司る扁桃核(扁桃体)
前頭葉などから扁桃核、海馬へ情報を送る経路である帯状回
などから構成されています。
ひろみさんの書いてるように、脳幹を包むような具合になってます。新皮質と脳幹をつなぐ部位と言えるでしょう。
大脳新皮質は人間らしく、そして巧みにいきるための領域。
辺縁系と間脳は生存競争を生き抜くための領域。
脳幹(中脳、橋、延髄)と小脳と脊髄は生きるためにどうしても必要な領域。
と言えます。
よく耳にする「脳死判定」では、脳幹機能を検査することになっていて、脳幹死が脳死判定の必須条件とされています。
神経生理学は、活字ではなかなかイメージできにくいのでビジュアルのきれいな図版か簡単なイラストで頭にイメージするのがイチバンだと思います。この分野は臨試ではそんなにウェイトのある範囲ではないかもしれませんが、実際はドクター(OTやPT)らと同じレベルで話をするためには、脳機能のこと、神経伝達物質のこと、ホルモンバランス、ホメオスタシスなどストレスとの関連もありますし、生理学はおさえておいて損はないと思います。
オススメは、地図帳シリーズかな。
何か適当な図版とかテキストとか見ておきますね。
投稿: ゆら。 | 2005.01.21 11:38