動機・感情の生理学
今日から新項目に入ります。勉強するのは
●情動の起源についての諸説→対応する過去問:14-19
●ホメオスタシスとストレス→10-2,9-9,11-8,12-4,13-14
●情動の起源
ジェームズ=ランゲ説(末梢説)
身体的変化が先に生じて、その変化を感知することにより情緒が生じる。悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい。
キャノン=バード説(中枢説)
情動の起源を中枢に求めた。キャノンは視床の役割を重要視、バードはこれを修正し視床下部を重要視。
『頻出問題』の記述から
Cannon は視床が、Bird は視床下部が情動表出の中枢であることを、脳のいくつかの部位の破壊がもたらす効果などを通して実験的に確かめた。
パペット=マックリーン説
情動の中枢を大脳辺縁系に求めた。現在では辺縁系の中でも、海馬よりも扁桃体が情動表出に関与しているといされる。
『頻出問題』の記述から
回路となっている辺縁系と嗅脳が情動表出の中枢であることを、脳のいくつかの部位の破壊と電気的刺激がもたらす効果を通して実験的に確かめた。(Papez)
※情動二要因説
情動には生理的覚醒とその状況に関する認知の2つの要因が必要であるという説。情動が起こる生理的覚醒が起こったとき、その覚醒の原因を周囲の状況の認知に基づいて評価する。
過去問:14-19
A.情動は、心理的体験である情動体験と情動の身体的反応である情動表出とに分けられる→○
B.情動は、行動への動機づけを発生させたり、個の生存確立を高めるなど個体の維持に役立っている→○・・・次項目のホメオスタシスとの関連
C.情動表出反応は、情動性自律反応と一部の行動を含む不随意の情動表出反応から成り立っている→×・・・行動を含む情動表出反応は随意
D.視床下部は摂食中枢→○
●ホメオスタシス
生体内の内部環境を恒常に保つ機能。Cannon, W. B. が命名。体温調節や血糖値の調節など。
●ストレス
ホメオスタシスの1つとして、精神的緊張時や危急時に交感神経系や内分泌系が働いて緊急事態への準備がとられること。これを Selye, H. はストレスと呼んだ。(もともと物理学用語) 現代人はストレスにさらされており、それによる不眠、抑うつ、不安、胃潰瘍等を汎適応症候群として問題化した。
『頻出問題』記述
もともと(物理学)用語のストレスという概念を生理学用語として用いたのは(Selye, H.)である。彼によれば、ストレスとは、体外から付加された物理的・科学的心理的な有害刺激による生体の不全と防衛反応の総和、であると定義される。ストレス反応は本来的には、(Cannon, W. B.) により提唱された生体の恒常性を保つ機序、すなわち(ホメオスタシス)に基づく合目的的な機構の結果であるが、現代社会ではこの状態が慢性化するため(汎適応症候群)が引き起こされやすい。
過去問:
10-2
ある一定の周期で生物に代謝や行動が内発的に生起する現象を【生物リズム】という。この中で、約一日の周期
を持つものをサーカディアンリズムと呼んでいる。リズムを発現させる機構は【生物時計】である。一定の時刻に食事を摂るという人間の摂食行動にはこのサーカディアンリズムとレスポンデント【時間条件づけ】が関与している。この行動は、生得的反応である摂食リズムが、【時間条件づけ】の手続きによって一日のある時刻に結びつくように形成されたものである。
9-9
A.Selye, H. ストレッサーによって生起した特異的な反応は適応症候群→×、汎適応症候群
B.Lazarus, R. S. のストレスモデル、第一次評価(刺激の評価)と第二次評価(対処可能性の評価)→○
C.ソーシャルサポートとストレス反応の間には正の相関→×、負の相関がある(サポートが増えればストレスは減る)
D.セルフエフィカシーが高いとストレスが少ない→○
11-8
A.ストレスが有害かどうかは、それを制御できるかによって決まる→○、Lazarus の第二次評価
B.制御できるストレッサーは、内分泌系や自律神経系にストレス反応を誘発し、免疫機能に影響を及ぼす→×、制御できないストレッサーがこれらを誘発する
C.Cannon, W. B. は汎適応症候群・・・→×、Seyle, H.
D.強いストレッサーが加えられると、それと闘おうとする防衛反応が現れ、これ以外の反応は姿を消してしまう。→×、他の反応もある
12-4
a.強いストレッサーが急に加えられると、威嚇-怒りあるいは逃走反応とともに情動性の自律反応が出現する→○
b.ストレッサーが加えられると、それに対応するために生体は、副腎皮質ホルモン、副腎髄質ホルモンなどのホルモン系と自律神経を動因する→○
c.ストレッサーに対する対処行動には、手段的なものと情動的なものとがあるが、後者は他者に依存したり、回避したりするものなどである→○
d.ストレッサーの性質とそれに対する自分の処理能力を正しく評価することが、個体のストレッサー制御の鍵である。
e.Brady, J. V. は、効果的な対処行動を習得していると頻繁にストレッサーに直面し、その都度対処行動をとってもストレス反応はおおきくならないことを実証→×、対処行動自体がストレスになることを、アカゲザルによる実験で証明した。
13-14
A.Holmes, T. H. & Rahe, R, H. は、生活適応に変化を起こさせる出来事の強度を計量することを試み、ライフイベント理論を提唱した→○
B.Lazarus, R. S. は、日常生活の混乱を引き起こす些細な出来事(daily hassles)が、長期間くり返されることによって経験されるストレスの重要性を指摘でした→○
C.Selye, H. は、警告反応期、抵抗期、疲憊期という3つの段階からなる汎適応症候群の概念をまとめ、生物学的ストレス理論をうち立てた→○
D.Cannon, W. B. は、ストレスは反応でも刺激でもあり、ストレスフルと認知されたことがらと、それに能動的に対応しようとする努力であると考え、刺激から認知プロセスを経てストレス反応に至る相互作用モデルを提唱した→×、これはLazarus
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コメント
まさこ様
ありがとうございます!!早速教えていただき、とても助かりました。あと8日間しかなく、焦りますが、それはみんな一緒と思って、頑張ります。
体調崩さないよう、気をつけていきましょう!
投稿: やまりん | 2005.10.09 00:19
やまりんさんへ
どこかのひろみさんの解説にでていたと思いますよ!
Lazarusの不安の認知評価
①否定的解決群
②否定的方向付け群
③サイレント群
となっていたと思います。
ご確認ください。
投稿: まさこ | 2005.10.08 19:22
ひろみ様
お世話になっております。またまた質問させてください。平成7年度の問題9のDのラザラスに関してです。ラザラスの認知的評定には3つあるとありますが、3つとは何でしょうか?いくつか参考書をあたっているのですが・・・わからなくて。ある参考書には、ラザラスの認知的ストレス理論について、「ストレッサーに対して、それが脅威的か否か、重要なものかを判断する1次的認知評価と、ストッレッサーに対して、どのようなコーピングがとれるかを判断する2次的認知評価という2種類の評価過程がある」と説明がありました。3つではないですよね。
投稿: やまりん | 2005.10.08 16:55