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2005.02.15

類型論と特性論

今日から人格理論です。過去問は明日の臨床心理学的視点が終わってから一括で確認します。

●類型論・・・性格を少数の類型に分類することでその人の性格の全体像をとらえようとする

●特性論・・・パーソナリティーは一貫性のあるいくつかの特性から構成されているという立場から、それぞれの特性を個人がどの程度有しているかを見ることで、その人のパーソナリティーをとらえようとする

『頻出問題記述』から
 人格をいくつかのタイプに分類し、その構造を明らかにしようとする考え方を類型論という。一方、人格を表す要素を測定することによって、個人の人格を把握しようとする考え方を特性論という。特性論で一番問題となるのは、分類の基準を何にとるかという点である。類型論は、統一的な全体像を把握しやすいが、中間的性格を無視してしまう傾向がある。一方特性論は、数量的・統計的手法に基づいており、科学的・客観的であり、人格をかなり分析的に広範囲にわたって詳細に示すことが可能であるが、個人の全体像や特異性(個性)がわかりにくくなるという批判がある。

●類型論
Kretschmer, E.
 『体格と性格』(1921)、分裂気質(細長型)、躁うつ気質(肥満型)、てんかん気質(闘士型)

Jung, C. G.
 リビドーの向かう方向(外向、内向)と4種の精神機能(思考、感情、感覚、直観)の組合せによって、人の性格を8つの類型に分類

Dilthey, W.・・・世界観の類型学(官能型、英雄型、瞑想型)
Spranger, E. ・・・価値志向(理論型、経済型、権力型、社会型、審美型、宗教型)

●特性論
Allport, G. W.
 個人的特性と共通特性

Cattell, R. B. ・・・パーソナリティーの階層構造
 独自特性と共通特性
  →表面特性と根源特性
     →体質的特性と環境形成→・・・
『頻出問題』記述から
 人格の階層は、独自特性・共通特性の第1階層、表面特性・根源特性の第2階層など5つに分かれて形成されるとし、隣接する階層や特性間の交絡の状況を図示した

Eysenck, H. J. ・・・階層構造
 外向-内向と神経症的傾向の2つの次元
 MPI
『頻出問題』から
 人格の類型論については、Kretschmer, E. による体格型-気質類型論、Jung, C. G. による精神分析の流れを汲むもの、Spranger, E. による価値志向やDilthey, W. による世界観などの価値観に基づくものなど、種々の理論がある。Stagner, R. はこれらの類型論的考え方を批判し、たとえば、Jung, C. G. のいう内向型-外向型は類型として明確に区別できるものでなく、連続的に正規分布するような反応のパターンであるとして、類型でなく特性の概念が適切であるとした。これに対し、Eysenck, H. J. は類型と特性を分布によって区別する考え方を排し、因子分析を用いた研究結果を基に両者の階層的構造を考えた。彼は、人格を個別的反応-習慣的反応-特性-類型の4つのレベルを持つ階層構造として考えている。類型のレベルには神経症的傾向、外向性-内向性および精神病的傾向の3つの次元があるとし、特に、多くの類型論に共通するものとして神経症的傾向および外向性-内向性の2つを重視した。

特性5因子論(Big Five)
 情緒不安定性、外向性、経験への解放、協調性、勤勉性
『頻出問題』記述から
 近年、人格の特性論的研究では、特性5因子説(Big Five, Five-Factor Model) と呼ばれる研究が注目されている。5特性に対する命名は研究者により一部異なるが、その不一致点は、McCrae, R. R. とCosta, P. T., Jr. が「経験への解放(O)」と呼ぶ特性で、他の研究者たちは「遊戯性」とか「知性」と命名している。

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コメント

突然のコメントで失礼致します。大学教授か
らの「心理療法における、人間学派(現象学派)のモデルは、精神力動学的モデルを批判するが、その批判はどこに向けられているのか」という質問が分からなく、このHPを拝見し、勉強させて頂きましたが、分かりませんでした。もし時間がありましたら、お答え頂けますでしょうか。

投稿: さちこ | 2006.01.16 01:04

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