臨床心理学・精神心理学的視点の人格論
Freud, S. 以降の人格論の展開については、『しけしん臨床心理学編』を見て昨年勉強部屋にくわし~くアップしましたので、そちらをご参照ください。ちょっと詳しすぎたので、こちらでは精選します。
参照する過去問は社会学的視点が終わってからまとめてやります!
『頻出問題』と『しけしん』の記述文を寄せ集めました
●Freud, S. (1856-1939)・・・精神分析学、精神力動学
人格は、その中に無意識的動機を持ち、快感の中心が身体の異なる部分へと変わる過程とともに発達するとした。
● Adler, A. (1870-1937)・・・個人心理学
人格は、その中核に意識的動機を持ち、願望に方向づけられた意志にそって構造化されるとした。
初期の頃にはFreud, S. の研究を支持し、相互に研究の影響を及ぼしあったが、後にFreud の性欲論を批判し、精神分析的立場を離れて独自の「個人心理学」を築いた。児童のガイダンスに興味を持ち、はじめて児童ガイダンス診療所を作ったことでも知られる。(しけしんp.182)
●Sullivan, H. S.・・・新フロイト派
Freud のいう幼児期の経験の意義を重要視する点は認めながら、Freud の性本能衝動に対し、Sullivan は満足への欲求と安定への欲求を人間の目標としてとらえ、対人関係の重要さを指摘した。
対人関係の場における経験が決定していく過程でパーソナリティをとらえ、不安を回避するために生じたセルフシステムの働きが重要な意義を持つと考えた。
人格は不安を契機として成立する対人状況の比較的永続的なパターンであるが、新しい状況に応じていつでも変わりうるとした。
新フロイト派の研究者の1人で、対人相互作用を通じて形成される精神分裂病や神経症に関する研究を行った。彼の考え方の特徴は、精神医学の基本的対象を対人の場と対人関係であるとしたところにある。さらに、精神病者を特殊視する精神医学を批判し、分裂病も人間的過程であるとして、その破壊的側面のみでなく、保護的側面の存在を主張し、分裂病患者の治療に多大な貢献を及ぼした。(しけしんp.182)
●Horney, K.(1885-1952)・・・新フロイト派、社会文化的精神分析学
幼児期に体験すした孤独感、無力感などの基底不安を中核とし、そこから自己防衛的に派生した神経症的要求の型がパーソナリティーの恒久的要素であると考えた。
●Fromm, E. (1900-1980)・・・新フロイト派、人間主義的精神分析学
社会的存在としての人間の概念を提唱し、パーソナリティの基盤を世界に対する人間の特殊な関係のしかたにあるとして、社会学的志向の類型を考えた。
人間には情緒的な健康や人格への完成へと向かう固有の衝動があり、生産的生活や、調和と愛情を求める、生まれながらの傾向を持つと考えた。健康な人格は、心理学的欲求を創造的、生産的方法で満足しようとする、知的、情緒的、感覚的反応のすべての側面を包括する態度を持つとした。また、歴史的分析の結果、人間のおかれた条件の本質を孤独と無意味ととらえた。(しけしんp.174)
●Erikson, E. H. (1902-1994)・・・修正フロイト派、心理社会学
人格は生涯を通して発達し、その各段階において必要な社会相互作用のもとに特徴的に構造化されるとした。
●Frankl, V. (1905-1997)・・・ロゴセラピー
人生における人間の主な動機は意味の探求であるととらえており、人間存在の本質には、精神性、自由、責任の3つの要素が含まれると考えた。人間はいかに行動するかを選択する自由があるし、精神的に健康になろうとするなら、その自由を行使しなければならないが、それと同時に、選択することの責任を受け入れなければならないことを主張した。(しけしんp.173)
●Rogers, C. R. (1902-1987)・・・現象学的人間主義理論
人格体系において単一の動機、すなわち個人のあらゆる側面を維持し、実現し、高めようとする欲求を設定した。人間は年齢を増すにつれて自己が発達し、自己実現への傾向が現われ、これが人の一生における主要な目標である。人間は創造しようという生得的衝動を持つが、最も重要な創造的産物は自分自身で、この目標は健康な人格で最もよく達成されると考えた。(しけしんp.174)
●Maslow (1908-1970)・・・人間主義的理論
人間は生まれつき自己実現意欲ないし傾向を持っていると考えた。しかし、我々はそのほかの普遍的で生まれつきの欲求階層説を唱えた。その最高次元にある自己実現の欲求は、欠乏によって起こるのではなく、生得的な成長欲求であると考えた。(しけしんp.174)
●Klages, L. ・・・特性論、ビッグファイブ
精神の機能を「私は欲する」という自己主張とみなし、パーソナリティを、人々を含む世界への同調的態度と自己主張的態度との関心の差異であると考えた。
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