社会心理学的視点の人格理論(2)
過去問でも見かけない名前ばかりで、私にとって未知の領域ですが、がんばります。
記述文のまとめ
●Kardiner, A.
M.ミードら文化人類学者による性格研究を継承した精神医学者A.カーディナーは、育児やしつけに関連する「1次的制度」がその社会に共通の基本的性格構造を形成し、さらに、この基本的性格を持った人々がその無意識的世界を外部に投射する結果、宗教、民話、タブーといった「2次的制度」の内容が作り出されるという個人と社会の制度との関係に着目した性格形成論を展開した。
共通して見られるパーソナリティは、乳児期の育児制度によって決定されると考えたが、データを無理に理論に合わせている点や、乳児期の経験を過大視しすぎる点が批判された。
●Fromm, E.・・・新フロイト派(フロイト左派)、社会的性格→権威主義的人格
人間には情緒的な健康や人格への完成へと向かう固有の衝動があり、生産的生活や、調和と愛情を求める、生まれながらの傾向を持つと考えた。健康な人格は、心理学的欲求を創造的、生産的方法で満足しようとする、知的、情緒的、感覚的反応のすべての側面を包括する態度を持つとした。また、歴史的分析の結果、人間のおかれた条件の本質を孤独と無意味ととらえた。(しけしんp.174)
E.フロムは、社会的性格という概念を提唱し、A.カーディナーの理論を批判した。すなわち、彼によれば、社会構造の全体がその社会に必要な複数の性格型を決定するのであり、性格形成はその人がどの階級、階層に属するかによって、それにふさわしい要求に基づいて行われるものであるという。社会的性格を決定する最も重要な因子は、政治と経済であるが、宗教や思想なども規定要因の1つである。E.フロムの理論は、その後の社会心理学における性格研究に大きな影響を与えた。
●Riesman, D.
D.リースマンは、その著書孤独な群衆において、E.フロムの理論を基礎としつつ、性格構造を社会の歴史的発展段階に照応させ、「伝統指向型」「内面指向型」「他者指向型」の3種類に分類した。
●Adorno, T. W. ・・・権威主義的人格、F(ファシズム)尺度
E.フロムがファシズムの基礎となる性格構造として規定した権威主義的性格を検出するため、数量化の方法を用いてFスケールを考案したT.W.アドルノらの業績もよく知られている。
親や社会的権威に対する二律背反的な感情、自我の弱さ、権力コンプレックスを権威主義的人格の深層部における特徴と考えた。
●Rokeach, M. の権威主義的性格
信念体系における権威への依拠と時間的見通しの相対的狭さを権威主義的人格の基本的特徴と考えた。
●Eysenck, H. J. の権威主義的性格
伝統に過度に固執する態度と力の行使に頼る実際的態度を権威主義的人格の基本的特徴と考えた。
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