« 会場確保(^_-)v | トップページ | 合宿について »

2005.05.19

臨床心理士の仕事について

イベントでは、前半、臨床心理士の仕事についてお話しました。私が言いたかったことはそれほど多くなかったので、ちょっとくどくなったかもしれません。
その一つは、臨床心理士の仕事は面接だけではなく、アセスメントとコンサルテーションが重要だということです。

たとえば、尼崎の鉄道事故でも、臨床心理士が派遣されると報道されています。小学校で先生が刺されて亡くなったときも、インド洋の津波のときも、新潟の地震のあとも、臨床心理士が派遣されました。それでは、現地で臨床心理士はどのように働いているでしょうか。

災害現場には援助を必要とする人がたくさんいます。その一人一人と面接をして、サポートを行い心の傷を癒してあげるのも臨床心理士の仕事の一部です。しかし一人のクライエントにいい援助をしてあげることができたとしても、他の何十人、何百人の人になんの援助もできないならば、その災害現場で臨床心理士は十分にその役割を果たしているとは言えません。心理の専門家としての臨床心理士に求められている役割は、別のところにあります。それがアセスメントとコンサルテーションです。

アセスメントは「見立て」です。クライエントの問題を見極め、必要な援助を考えます。
コンサルテーションは、異なる専門家からの助言です。具体的には直接クライエントと日々接する人への助言です。(同じ専門家への助言はスーパーヴィジョンですね) たとえば、学校現場ならば教師や保護者へ助言することです。
臨床心理はまずクライエントの状態を見極め、必要な援助を判断し、直接クライエントと接する人へ助言を行うのです。それによって、臨床心理士が直接クライエントと面接をしなくても、多くのクライエントに援助を行うことができます。このアセスメントとコンサルテーションの能力こそが、心理の専門家として必要であると思います。

自分は面接がうまいとか、私と話をしたらクライエントは癒されるとか、間違っても考えてはいけないと思っています。臨床心理士=カウンセラー=いい人、という図式は脱却しないといけません。そんなことをまずお話しました。

|

« 会場確保(^_-)v | トップページ | 合宿について »

臨床について」カテゴリの記事

イベント05から」カテゴリの記事

コメント

ひろみさん,さっそくのお返事ありがとうございます。やはり口を出すべきではありませんでした。よく読むとイベントでこんな話をしました・・という旨書かれていますものね。早とちりで申し訳ありませんでした。こういう内容を読むとやっぱり実際イベントに参加してひろみさんのお話を直接聞きたかったなあ・・・と残念でたまりません。関西あたりで開いてくださると私も参加しやすいのですが,もう予定はないですよね。おまけに合宿も確か東京ですよね。くすん・・・。

投稿: terusa | 2005.05.29 12:03

terusaさん、コメントありがとうございます。他の方の意見を聴かせていただいて、私もまた考える材料がふえました。

私の方でまぎらわしい表現をしてしまいました。terusaさんのご指摘の点はわかっていましたが、あの記事はイベントでの発言の再現だったので、あのように書きました。だから直接ご意見をいただいたのは記事についてだということはわかっています。
混乱させてしまってごめんなさい。

とよさんもterusaさんも、気づかれたことがあったまたら教えてください。これからもよろしくお願いします。

投稿: ひろみ | 2005.05.29 10:06

いつもここで勉強させてもらっていますterusaです。私が口を出すのもと思っていたのですが,とよさんとひろみさんのコメントを読んでどうもすれちがっているような気がしたので一言言わせてください。とよさんが指摘している内容はイベントのことではなく、この記事(5月19日付臨床心理士の仕事についての本文11行目から12行目にひろみさんが書かれていること)についてのコメントではないかと思うのです。読むと確かにとよさんが指摘しているような表現がありますよね。とよさんのコメントは私にとっても常に心にとめておかなければならないことだと思いました。

投稿: terusa | 2005.05.29 09:39

とよさん、貴重なご意見をありがとうございます。お返事が遅くなってごめんなさい。
とよさんが言ってくださったこと、ずっと考えています。これからもずっと考え続けていくと思います。

今感じていることは、私はとよさんのご批判には当たらないということです。なんの根拠も証拠もありませんが、自分は違うと思います。イベントでの発言については、自分を主語にしていたのではなく、臨床に携わるものが陥りやすい落とし穴について話したので、あのようになったのかもしれません。

それでも、これからもずっと考え続けていこうと思っています。とよさんも気づいたことがありましたら、また教えてください。よろしくお願いします。

投稿: ひろみ | 2005.05.28 12:14

心理臨床に携わるものが、
「援助してあげる」「心の傷を癒してあげる」
など、『~してあげる」という表現をすることは非常におこがましいと思います。無意識にクライエントを見下しているところがあるのではないでしょうか。そのような気持ちでクライエントに接している人がいることは、同じ心理職のものとして、非常に腹立たしく思います。

投稿: とよ | 2005.05.27 00:53

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 臨床心理士の仕事について:

« 会場確保(^_-)v | トップページ | 合宿について »