DSM-Ⅳについて
「心理臨床大事典」より読みにくい!「DSM-Ⅳ」についてです。
はっきり言えるなぁと思うのは、最近の出題はDSM-Ⅳの診断基準そのままの傾向があることです。
昨年の、急性ストレス障害、レット障害、大うつ病エピソードがそうだったと記憶します。早く公表問題で確認をしたいと思っています。
H15以前では、15-29の不安障害に関する設問、14-34のトウレット障害、14-31はICD-10ですがDSM-Ⅳとおおきく違いません、PTSD、14-54の演技性人格障害などです。
しかし、このDSM-Ⅳはどこからどう読んでいいのかさえわからない代物です。私も今になって読んでいますが、実は受験ときはなしですませていました。(^_^;
使い方のポイントは、分類の構造を知ることだと一つ思います。
DSM-Ⅳにおける分類の構造
Ⅰ軸とⅡ軸というのが11-54Cで出題されています。
Ⅰ軸…臨床疾患、臨床的関与の対象となることのある他の症状
Ⅱ軸…パーソナリティ障害、精神遅滞
全部でⅤ軸までありますが、試験に関係するのはⅠとⅡです。
この分類はつまり、パーソナリティ(人格)障害は臨床疾患ではない、という意味ですね。位置づけが違うのです。
そしてⅠ軸で試験に関わる部分は(過去問からの判断です。これから先のことはわかりませんが)
○通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害
○せん妄、痴呆、健忘性障害、および他の認知障害
○統合失調症および他の精神病性障害
○気分障害
○不安障害
○解離性障害
の6つでしょう。
そしてこのそれぞれのカテゴリーで、さらにどのような分類がなされているか、中味の前にその分類の構造を理解することが重要です。たとえば不安障害と解離性障害や人格障害に関しては、著書で分類した表を載せていますので、参考にしてください。
ややこしいのは気分障害です。いわゆる、うつと躁ですが、過去問をやっても新分類の診断基準に対応していないからやっかいです。しかも昨年度は「大うつ病エピソード」ということで、しっかり新分類の基準が出題されていました。このあたりはまた後日詳しく…
一方、統合失調症はDSMの診断基準だけでは足りなくて、ブロイラーやシュウナイダーも必要です。しかし、妄想症状の判断に関して、いろんな診断名があるので、それはDSMに載っています。12-50Bの「分裂感情障害」は一番新しいDSM-Ⅳ-TRで「失調感情障害」として載っています。
とにかく、DSM-Ⅳは「読む前に構造を知れ!」です。そうすれば、地図を持った感じで、どこに何があるか少しわかるようになります。
読むのは時間がかかるしやっかいなので、DSMそのものを読まないでまとめてくれているものですませるのもありです。精神症状の解説本には、DSMの基準を抜き書きしてくれているものがあります。不安障害に関しては至文堂の「心の病理学」は全部診断基準を載せてくれていますよ。
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コメント
martiniさん、コメントありがとうございます。
おすすめの本、さっそく「みんなの参考書」のところに挙げさせてもらいました。
そう言えば上地先生は、一昨年の教育心理学会で、学校現場でのDSMみたいなワークショップをされてました。私は申し込んだのですが、希望者多数で他にまわされて残念な思いをしました。本が出ているなら、勉強させてもらいます。
投稿: ひろみ | 2005.06.27 01:01
皆様はじめまして。今年度受験予定の者です。
DSMをどうやって攻略するか、大事なテーマですよね。私は現在教育相談系に勤務しているので、それに見合ったアプローチ本を持っています。
上地安昭(監訳)(2003):学校で役立つDSM-IV DSM-IV-TR対応〔最新版〕,誠信書房
学校関係・教育関係で勤務されている方々には、試験攻略というより日頃のお仕事の中でも結構役立つと思います。
投稿: martini | 2005.06.27 00:00