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2005.08.16

らんぜさんからの質問-箱庭療法

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らんぜさんから質問いただきました。

箱庭療法について。
5-82Aでは、
「箱庭療法はときには精神分裂病にも用いられることがある→○」
とあります。
一方で、9-74では、
「分裂病の治療にも適している→×」
となっています。
これは、分裂病の治療には適していないが、箱庭療法を実施することもあるという理解でよろしいのでしょうか?

私もらんぜさんと同じ理解です。
統合失調症に対しては
「適している」は×
「用いられることがある」なら○
です。

「心理臨床大事典」で確認したところ、
「精神病圏の人の治療まで、実に多くの治療例があげられている」
とある一方で、
「とくに、境界例、精神分裂病あどのクライエントには慎重であるべきである。もちろん急性期の精神分裂病患者などには、よほどの見立てがない限り禁忌である」
とあります。

また「心理面接プラクティス」には
「箱庭が日本に導入された当初、主として神経症圏内のクライエントに対して有効であり、分裂病圏の人には危険であるといわれていた。現在でも上述したような意味でその考え方そのものは変わっていない。しかし、最近は多くの医療機関で実施されており、医師との連携のもとで精神分裂病圏内の人にも適用されている」
とあります。

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コメント

ひろみさんに補足です。心理査定プラクティスの「風景構成法」の章からの引用。

箱庭表現には、底に砂があるという大地性と、天空へ垂直軸をもって広がるという精神性すなわちコスモス的性質の両面があると考えている。このような箱庭療法の特性が分裂病者にとって強い脅威となることは容易に想像できる。大地性は退行への脅威を、コスモス的性質は現実的・心理的守りの弱さをそれぞれ意味する。開かれることへの脅威と言ってよいだろう。しかも、用いられるミニチュアがきわめて具象性に富んでいることも脅威となる。(中略)
三次元空間としてのイメージ表現は、それが具象的であればあるほどリアリスティックになっていく。粘土などの具象性の弱い手法を除いて、現実からの侵襲に脅威を抱いている分裂病者にとって三次元空間としてのイメージはきわめて侵襲性の強いものになる。

また、こういう記述もあります。

河合は心理療法におけるイメージ表現の重要性を強調し、分裂病者が箱庭の中にさらに柵などを用いて四周を囲う領域をつくり、そのなかに箱庭を製作する傾向があることを指摘した。

ということでした。

投稿: activator | 2005.08.16 22:50

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