Piaget,J. の発達理論
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Piaget について質問をいただいているので、まとめておきます。
Pieさん、ちゃりんこさん、いつもコメントありがとうございます。
Pieさんの質問に対する私の考えは、ちゃりんこさんとほぼ同じです。自分の過去の間違いに気づいたのは、去年書いた過去問解説で、15-3Bのところに、7-4eの説明を書いています。混乱させてしまってすみません。
15-3B
Piaget,J. は、発達を子どもが生得的に持っている思考する力から発すると考えた。→×
に関しては、ピアジェの理論には、「子どもが生得的に持っている思考する力」という概念は全くないので、どこが違うという部分的なことではなく、全く違います。ピアジェ以外の誰かがそのように考えたのかもしれません。
3-4e
Piaget,J. によると、子どもは環境側からの働きかけによってシェマ(行動のパターン)を洗練し、獲得する→×
に関しては、シェマについて、おさらいをしてから考えましょう。
シェマとは「発達心理学用語辞典」によると
シェム、スキーマtおも呼ばれる。外部の情報を認識主体が自らの認識システムに取り込む際に用いる情報処理の図式あるいは枠組み。認識が外部世界の単なる模写ではなく、主体による能動的な構成活動であるとするピアジェの認知発達理論で用いられた概念の1つ。
ピアジェの構造主義は、このシェマや有名な4段階の発達理論と関連していますが、ちゃりんこさんもおっしゃる通り説明が難しいです。ただ、シェマの獲得については、「発達心理学用語辞典」に次のような記述があります。
感覚運動的知能期(0~2歳)
乳児は対象の認知を感覚と運動によって行う。やがてもろもろのシェム(scheme[仏]=繰り返し得る基本的行動図式)を協応していき、意図的に対象に働きかけるようになる。
つまり、「環境の側からの働きかけ」は誤りであると考えられます。
「貢献者の肖像と寄与」には次のように書かれています。
ピアジェは、構造は個体発生にともなって外界との相互作用により新しく構造化されると考える。(略)新たな刺激と反応の結合の機構は、同化により成り立つと考える。つまり新たな結合はすべて既存の構造のうちに統合され、生体が外的刺激を感じるのはそのようにして既に構成された構造に刺激を同化できる範囲に限られ、刺激が新たに同化されるにつれて、構造は修正され豊かになる。
同化ともう一つのキーワードは「調節」です。調節は環境にあわせてシェマを変える働きなので、上の引用では、「構造は修正され豊かになる」というのが、調整のことだと言えます。
以上から、子どもは主体的に外界に働きかけ、外界がそれに対して反応する相互作用によって、シェマを獲得する。そして既存のシェマに新しい外界の反応をとり込み(同化)、シェマを変え(調整)ながら、それを洗練させていく。とまとめられるでしょうか。
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コメント
あきちゃんさん、コメントありがとうございます。
私の電子辞書で調べると、scheme とschema は別の語です。複数形とかではないようです。意味の違いはよく調べられていません。(すみません)
いわゆる「スキーマ」はschema の方のようです。
困ったときの「心理臨床大事典」には、
シェマ(scheme)
と記載されていて、私にはお手上げになってしまいました。
お答えにならなくてすみません。
投稿: ひろみ | 2012.07.11 23:11
ふるい日記にコメで申し訳ないのですが…
シェマとシェムの違い(特にシェムについて)を教えてもらえませんか。
看護学校で心理学を教えていますが、シェムは聞いた事がありません。テキストにはシェマの集合体というような書き方がされていますが、語尾がa→eになるのは複数になるからでしょうか?ドイツ語の文法を忘れてしまったので、この理由を探しています。
辞書を調べてみたのですが、数による名詞の語尾変化は見当たらなくて、分かりません。また、上記の答えについて詳しく解説してある書物がありましたら(安い物でお願いします)ご紹介ください。
投稿: あきちゃん | 2012.07.11 18:03
ひろみさん、ご丁寧な説明ありがとうございました。最後の4行が驚異的に分かりやすかったです!感動しました。
ついでにひとつ質問なんですが、16-61Aの分析心理学というのは、ユングの分析的心理学のことを指しているという理解でいいのでしょうか?
投稿: Pie | 2005.09.21 13:30