学校臨床
ほんわりさんから、学校臨床について質問をいただきました。
特別支援教育士の名前もでてきましたが、発達障害、不登校、非行、精神症状、虐待、PTSD、メンタルヘルス、コンサルテーションなど、いろいろなことが学校での支援を行おうとする時にたくさんのことが求められると思います。
学校によって求められるものが違うのが現状のようですが、それでも、学校現場には学校現場独特の求められるものがあるように思います。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学など対象によっても、また私立と公立でも違うだろうと思います。
大学院の時にどういうことを身につけておくことが必要か、養成システムへの意見を含めて、意見をいただけると有難いです。
(コメント以上)
大学院で学べることには限界があるので、あれこれ全部よりは、自分はこれが得意というのを1つ身につければいいと思いますが。
現場は1つとして同じではありません。そこで何が必要とされているのか把握して、求められる援助を試行錯誤しながら提供していくことになるのではないでしょうか。
ちなみに、私の大学院は教育学部だったので、学校臨床については一通り学びました。カリキュラムのことは覚えていません。すみません。
実習では発達障害の子どもさんのプレイを経験しました。そこで学んだのは、発達というのは、スピードの違いはあるものの、過程は同じなのだということです。だからゆっくり発達する子どもさんの過程を学ばせてもらって、いわゆる健常の子どもさんの発達の援助も同じようにできるということがわかりました。
コミュニケーションを取るのに苦労する子どもさんもいましたが、それもまた、人と人とのコミュニケーションという点で、健常の子どもさんと本質的に変わるものではありませんでした。表面的とか合わせるということをしてもらえない分、こちらの対応のまずさがはっきりと映し出されて、勉強になりました。
ですから、あくまでも私の経験からですが、発達障害の子どもさんと関わることは、その後いろんな応用が利いて、よいかと思います。
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コメント
ひろみさんにお尋ねします。
学校の先生が臨床心理士を取った場合、学校内でどのように生かす道があるのですか。学校でのアイデンティティは 教師>心理士 ですよね。あくまでひろみさんのメインは先生ですよね。今のポジションは資格や知識を生かせていますか。
私は学校ではないのですが、学校と似たようなところで仕事をしています。心理の知識が必要なポジションはあります。が、そこの部署は無資格のお局様が陣取っていてしばらく交代はなさそうです。
せっかく資格を取ったのに、ここ数年、今までと何一つ変わらない日々です。今の仕事上臨床心理士資格は全く必要ない。上司も心理に全く関心がない。合格の報告にも一言のおめでとうもなかったのが現状です。
今何のために何年もあんなに頑張ったのかという思いがふつふつと募っているのです。失礼な表現になりますが、お局様が移動すれば私にもようやく活躍の場が与えられます。でも今のままではかなり難しそうです。
ひろみさんは今学校でどんなふうに子供たちに還元しているのですか。資格を生かしきれない悶々と行き詰った私にアドバイスをくださればうれしく思います。
投稿: 悩める30代 | 2006.02.02 22:40
コメントをくださったみなさん、早速に貴重な現場のお話を伺えて、感謝&感激です。私は、今まだ在学中なので、そういう現場できちんと仕事ができるためには、何を学んで、身につけておかなければいけないかということまで教えていただけたら大変ありがたいです。
今までのお話では、発達障害の方にはアセスメントできることと、実際的にどう対処していけばいいのか、具体的なかかわりの仕方まで求められるということかと思いました。そして、やはり精神医学的アセスメントまでできないと、他の機関に紹介したり、学校の先生方へのアドバイスや、保護者や本人の方にきちんと専門家としてのカウンセリングができないでしょうし、かつ紹介など責任をもった発言はできないのだなあと受け取りました。そして、信頼できる紹介先もある程度知っておかないと、現場では役にたてないのではないかと思いました。
私が受けた学校臨床の先生はケースワークの力を強調されていて、そこを確認しました。そして、コンサルテーション的な力を求められていることかと思いました。そこでもやはりアセスメントの力が大事だなあと思いました。先生方が何を求めていて、何をお手伝いできるか、日数の少ない中で、問題を把握し、どこから手をつければいいのか?自分で直接かかわるよりも、数段むずかしい力が求められると思いました。学校臨床は、基本を超えた応用編だとおっしゃる先生の言葉が少しわかる気がします。
ひろみさんが大学院2年間の中で欲張ってもとおっしゃる現状はとても理解ができますが、社会人で他の領域から入った者にとっては、就職してからは、もっと育てるシステムが整っていないのに大変責任の重い領域で、養成システムにかかる責任も、とても重いと感じます。
少し学校関係にかかわっていた時期があり、教員だといろいろと問題はあっても、新任研修など、ライフステージにそって、教員を育てていく制度を整えようとしています。
医者の研修医制度は、まんがの「ブラックジャックによろしく(でしたっけ?)」にあるように、大きな問題はあるようですが、卵たちの養成が制度的につくられ、現場も必須としていると思います。それらの専門職に比べて、心理の現状は本当にお寒い状況と感じています。
ここはそういう大学院のシステムに関して、愚痴を言う場ではないですが、本当にひどいシステム、ひどい教員の話は普通に聞きます。私も事例検討をお願いしても、1時間半近く待たされた上にやっていただけなかったり、「時間がない」と言われてあきらめたら、他の方にはその随分後に時間をとっていたり、私の先輩などは約束そのものをすっぽかされたりなど、臨床家を養成することに関して意識も自覚もあるのか疑問を思っている教員に、指導を受けるとなれば頭をさげてお願いをしなければいけません。もっとひどい教員になると、査定の授業で学生にレポートさせ、テストの実習をさせている間に、その教室で本を読んで勉強して、適当に話すという唖然としてしまった教員さえいます。もちろん多くの先生方は、学生をいかに養成していくかに心をくだいて指導してくださっていますし、お世話になっています。(今、マンションなど欠陥あるものをつくることの問題が言われて、検査システムを言われていますが、心理の養成にこそ必要なのではないかと思ってニュースを聞いています。)
ひろみさんのように、実習で、きちんと現場での力をつけることの大事さも思いました。
私が受けた外部実習では、他の大学の先生はお世話になっている実習中の学生をきちんと尋ねて、学生、指導スタッフにきちんとお話をきいて対処していて、こういう大学に入ればよかったなあと大変後悔しました。そこは、付属機関の実習できちんとSVも重ねていて、実習中の態度が落ち着いていて、全然違うなあと感じました。
今私たち学生にできることは、自分でこういうサイトのようなサポート機関を求め、自分たちで自助努力をするしかないのだと思いますので、現場での貴重な経験から、こういうことを学んだり、身につけておくようにという具体的なアドバイスまでしていただけたら、ありがたいです。現場での生々しい苦労話でも大変勉強になります。長くなってしまいましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: ほんわり | 2006.01.29 12:45
ひろみさんこんにちわ。受験の時からずっとお世話になっています。1月7日に、前の名前忘れたさんが、別のサイトで見たという受検結果を掲載されていましたが、どのサイトかご存知ですか?探したのですが見当たりませんでした。とっても初歩的な質問なのですがわかったらお教えいただけますか?お忙しい中申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
投稿: あい | 2006.01.29 11:01
にこままさんへ
私も自分が感じた学校の先生像をまとめてみます。少し偏見も入っているかもしれませんがこれらを意識して対応するとうまくいくことが多かったので。
1)プライドが高い方が多い
2)まじめな方が多い
3)権利意識が強い
4)みんなとわいわいするのはどちらかというと苦手な方が多い
5)生徒からどう見られているかはあまり意識されない方が多い(特に男性)
6)勉強される方とされない方がはっきりわかれる
7)基本的な社会常識がない方も若干おられる
8)よく観察すると職員室内で足の引っ張り合いがあったりする
9)男性教員の方は40代以降になると校長や教頭になる同僚が気になってくる傾向がある
10)福利厚生がしっかりしているせいか女子教員は出産後もほとんどやめない。たくましい印象を受ける
とくに1)2)あたりは、対応するとき意識しておかないとまずうまくいきません。
みなさま一国一城の主ですから、こちらがあまり偉そうにアドバイスしてしまうと受け入れて頂けません。専門家らしく症状のバックグランドや参考になる他の事例などを紹介すると喜ばれます。こちらもしっかり勉強しておかないと見透かされ信頼していただけません。
投稿: つぶやきSC | 2006.01.28 21:49
みなさんと全く違う学校サイドからみた事を書きます。私は中学校で相談員を数校やっています。
いろいろなSCさんとご一緒しての感想です。
学校は古い体質があり、それもあってSCを外部からお願いしているのですが、現場の先生は複雑な思いがあります。
専門家に助けて欲しい反面、なにが出来るのかという反発した思いです。
大学の先生なら受け身の態度で許されますが、普通の臨床心理士さんなら、先生方を立てて仕事をされるといいと思います。
先生は自分がエライと半分以上の人が思っていますし、長時間のハードな勤務のため、SCに複雑な思いがあります。
学校の先生がやりにくい、病院へのリファーや難しい保護者と学校の間に入ってくださる方は歓迎されるとおもいます。
投稿: にこまま | 2006.01.28 20:20
SCはどんなに頑張っても毎日は無理。
私は月2回半日です。
最近そのことで限界を感じます。
生徒は毎日学校に来ています。生徒は教室や友人や学校行事の中で日々悩み成長します。
学校の先生で臨床心理士の資格かそれに相当する資格を持たれていて、でもメインは学校の先生で、でもいざというときは臨床心理学的視点でサポートできるような人が学校に一人でもいれば、SCの数少ないサポートが、もっともっと生きてくるような気がします。
最低でも窓口の先生が、SCを理解して欲しい。何校か行っていますが、すごくサポーティブな学校もある反面、「あの人誰?」という扱いを受ける学校もあります。
ですからひろみさんのように、学校の先生が臨床心理士を目指されるのはとても意義があることだと思います。
投稿: つぶやきSC | 2006.01.28 18:58
再びふむきちです。一つ大事なことを書き忘れていたことに気づきました。
中学校までは義務教育ですが、高校はそうではありません。これはとても大きな違いですよね。高校で不登校は大きな問題ですが、中学校では、とてもとても大きな問題です。
保護者の方との面接、担任との話し合いなど、これもまたまた間接的な支援が多いかもしれません。
ふむきち
投稿: ふむきちその2 | 2006.01.28 12:56
現在、中学校と高校でSCをしています。メンタルフレンド時代も入れてまだどちらの校種も2校目ずつなので、大きなことは言えませんが、現場で感じていることを書きます。
校種や学校によってニーズが異なるように思います。発達障害と病気の知識の両方ともSCには必要なのですが、特に中学校では発達障害の知識が、高校では病気の知識が求められている気がします。
中学校では、発達障害の可能性があるお子さんにどのような支援が学校や家庭でできうるのか、具体的には、授業の中ではどうなのか、どのように学級経営をしていったらいいのか、個別支援学級(特殊学級)の方がよいのか、検査を受けてもらった方がよいか、親の考えはどうかなどの相談が多いです。発達障害の相談以外にも、様々なお子さんと話しますが、カウンセリングとまではいかないことが多いです(力不足かもしれませんが)。
教員からは、学級という集団生活の中で、その子どもにできうる支援はどのようなものかや、学級経営について、よく聞かれます。
一方、高校ではお子さん自身が相談にきて、継続的にカウンセリングをしているケースもあれば、大至急、病院にリファーするケースもあります。医療にリファーするかどうかの見極めや、リファー後、親子の了解を得て、ドクターに学校での留意点について聞きにいったり、本人から話を聞いたりなど、医療とのつながりが強いです。養護からは、生徒の話をどう聞けばよいのか、どう言葉をかえせばいいのかや、医療につなげるべきかどうかについて、聞かれることが多いです。
というわけで、関わり方も異なっており、中学校では先生や保護者との面接が多く、本人への間接的な支援が中心で(本人は面接というよりも、遊びにくることが多い)、高校では本人の面接が多いです。高校生になると、「自分で自分の悩みや困り感を言語的に他者に話し、助けを求めるようになる」のだなあと感じています。
なので、SCを希望されるのであれば、どの校種を希望するのかも念頭において、勉強されるのがよろしいかと思います。参考になりましたでしょうか。ただし、書いたことは私の現場の感想なので、他の所では違うかもしれません。
ふむきち
投稿: ふむきち | 2006.01.28 12:42