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2006.03.11

阿寒に果つ

充電が徐々にできてきたのか、体調もよくなり新規記事を書こうかなぁと思える午後です。

「土曜日の午後はラジオがつまらない~。『土曜喫茶室』もやって!」と訳のわからないことをほざいている私ですが、朝日新聞の土曜版(be)は大好きです。

2部構成なのですが、「b」(business)の方は『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』の山田真哉さんが表紙に特集されていました。
その生き方や姿勢に私は好感を持っています。

そして、「e」(entertainment)の方は渡辺淳一の『阿寒に果つ』でした~。あのヒロインがそのまま実在したとは、全く知りませんでした。

私は子どものときから大変な読書家で、小学生のときは1年に100冊以上、中学、高校でも1年50冊以上はコンスタントに本を読んでいました。

読書をすると、主人公に自己を投影するものですが、中学までは、自分の性には無頓着に、男性の主人公に自己を重ねることが多かったと思うのです。社会的な性別の差を、本当には理解していなかったのだと思います。ですから『次郎物語』などを読んでも、あれは旧制中学(男子校)の物語であるのに、ものすごくその世界に憧憬したことを覚えています。学問によって将来を開いていく、みたいなところにです。福沢諭吉の伝記(子どもだったので、自伝ではありません(^_^;)にも、慶応義塾で若者たちが建国の志を抱いて学ぶ場面が印象的でした。

それでも、高校生くらいから、小説を読んでも女性像に関心を持つようになりました。私にとってアイデンティティーの問題だったのかもしれません。ふと気がつけば、文学の世界に本当に自己を投影できる対象がなかったのです。男性の作家が描く女性は、そとから見て描かれているし、こうあって欲しいというような思いもあるようです。

そのあとのことは、著書にも書きましたのでここでは省略しますが、『阿寒に果つ』です。
自己を投影できるはずはないですが、印象的なキャラクターです。ある意味あこがれます。宮本輝の『錦繍』の心中相手の女性のようでもあります。

その『阿寒に果つ』の主人公純子のモデルであった加清純子が選んだ人生の幕引きは、自己のプライドと切り離せない傲慢であるかもしれません。でも、背景には、女性であるゆえの生きにくさがあったと今になって思います。実在したと今朝知って、感慨が深いです。同性としては、輝きは若さだけではないし、行き詰まったところもなんとか乗り越えて、いつまでも輝き続けて欲しかった!と切望します。

土曜版「e」のもう一つの楽しみは『ベルばらKids』です。昨日やっとの思いで、宝塚歌劇雪組の『ベルサイユのばら』を観劇してきた私ですが、この件はまた別に書きます。

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