防衛機制
防衛機制についての質問です。
11-83です。 強迫神経症の女性の事例ですが、ここで、ヒステリー症状の規制は「抑圧」、強迫神経症において働いている重要な防衛機制は「置き換え」が正解になっています。しかし、『心理臨床大辞典』p1332の糖尿病患者の心理のところで、「ヒステリーの症状形成も置き換えの一つである」という記述があり、ヒステリーは「抑圧」という構造が自分の中でしっくりいきません。従来のヒステリーは転換性障害になっているわけですので、ヒステリーの症状の防衛機制は「置き換え」もあると考えていいのでしょうか。
私の理解では、ヒステリー→抑圧、強迫神経症→置き換えです。
順番に定義を確認していきましょう。
「キーワードコレクション心理学」から
抑圧
受け入れることが苦痛だったり、危険であるような考えが意識にのぼらないように防ぎ、無意識下に閉じこめておくこと。
置き換え
自分の衝動や願望をある対象(その衝動の原因となった対象)に向けることがなんらかの理由で容認されない場合、その衝動を他の対象に向けること。
例:上司に怒られた人が部下に対して攻撃の矛先を向ける
ヒステリー
かつて、けいれん発作、失声、ヒステリー性盲、ヒステリー牲聾などの症状を伴うものをこう呼んだ。心理的な原因によって生じる知覚系、運動系の身体症状一般のこと。
強迫神経症(「精神医学ハンドブック」から関連すると思われるところだけを引用)
強迫行為は不安を軽減するために行われる儀式的な行為と定義される。
ヒステリーの防衛機制が抑圧であるとされるのは、抑圧された感情が原因(心因)となって身体症状が起こるためです。
強迫神経症(DSM-Ⅳでは、強迫性障害)の防衛機制が置き換えであるとされるのは、強迫行為が本来の不安を軽減する行為の代わりに行われているからでしょう。強迫行為に置き換えられているのです。
さて、ご指摘の箇所、大事典で確認しました。
もし透析患者の方に「ヒステリー」症状が起これば、それは病気の受容に関してであり、抑圧した感情(たとえば幼児期に受けた性暴力の記憶など)が原因で起こるヒステリーと原因が違うのではないでしょうか。ですから防衛機制も抑圧ではなく、置き換えにあたるのかなぁと思いました。
一般的には、ヒステリー→抑圧、強迫神経症→置き換えでいいと思います。
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