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2006.10.12

罰訓練と負の強化

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負の強化について質問をいただきました。私が回答する前に、速攻で高橋美保さんが詳しい解説をくださいました。私が補足することはなにもないのですが、新規記事として、こちらで整理しておきます。

質問のコメントです。

8-28(オペラント条件づけ)の問題です。
正解はeが間違っているということですが、どうも納得がいきません。負の強化刺激を用いた訓練には、罰訓練と逃避訓練がありますが、このeの「負の強化とは、あるオペラント行動に続いて嫌悪刺激を提示する操作で、そのオペラント行動を減少させる」は罰訓練の説明で、オペラント条件付けなので正しいと思いますが、いかがでしょう。何故間違いなのでしょう。
もし、オペラント条件付けのなかの逃避訓練としての選択肢で間違いの肢にしたいのなら、「負の強化とはまず生体に嫌悪刺激を与え、決められた逃避反応をすると嫌悪刺激を除去する。逃避反応の生起率は「減少」する(正解は上昇する)」として欲しいと思いますが、なにか私は大きな勘違いをしているのでしょうか。青本もeが間違いとしてあります。
どうしても腑に落ちません。どなたか教えていただけないでしょうか・・。

高橋美保さんが、回答くださいました。

まず,「負の強化」と「(正の)罰(=罰訓練)」は全く違うものです. 「嫌悪刺激を用いた訓練には罰訓練と逃避訓練がある」としても,だからといって,罰訓練と逃避訓練がオペラント条件づけとして同じものだとは言えない,ということです.

そもそも,「負の強化刺激を用いた訓練には、罰訓練と逃避訓練がありますが」というところが要注意です.つまり厳密に言えば,「罰訓練に負の強化刺激を使う」という言い方が間違っているのです(こういう表現をする人は確かに少なくないのですが).
「負の強化刺激(強化子)」とは,「負の強化」に用いられる刺激のことを言います.
つまり,結果として反応の頻度が上がるような「刺激」のことなのです.逃避訓練の手続きは「負の強化」ですが,これは結果として反応の頻度が上がりますものね.
「(正の)罰」は,結果として反応の頻度を下げるものです.なので,この手続きにおいて用いる嫌悪刺激を,あえて区別して罰子,嫌子(←強化子の反対ということで)などと呼ぶ研究者もいます.
強化や罰といった手続きをめぐる概念は,あくまで「操作」に立ち返って考えてみるとよいですよ.このあたりを詳しく確認したいときは,学習のテキスト(今田寛『学習の心理学』培風館,実森正子・中島定彦『学習の心理』サイエンス社)が参考になりますし,増補改訂のシケシン(p199)にも書いてありますよ(宣伝じゃないです).

高橋さん、いつもありがとうございます。「しけしん」シリーズでお世話になり、またまたコメントまでいただき、感謝の言葉もありません。受験生はものすごく励まされていると思います。ありがとうございます。
みなさん、高橋美保さんが応援してくださっていますよ~! がんばりましょう!

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