数字で知るこころの問題
書店で、こころの科学139(2008年5月1日発行)を買いました。『数字で知るこころの問題』
こころの問題で苦しんでいる人の数字が、いろいろ整理されています。
①私の手元の情報では、昨年度はアメリカにおけるPTSDの生涯罹患(りかん)率が出題されたようです。
②また、非公開ですが、H17年度は不登校の子どもさんの数に関する出題があった、という情報もあります。
不登校生は中学生より小学生の方が多い。
H14年度からH15年度を比較すると不登校は減ったが、10年前と比較すると増えた。
最近の新聞でも記事になっていたので、あわせて確認しようと思います。
③公開問題では、15-36で、自殺者数の統計が出題されています。
④認知症の原因疾患の比率がどんどん変わっているようなので、それについて、確認もしたいと思います。
①こころの科学139にも、さすがにアメリカの統計は載っていません。インターネットで調べてみましたが、日本の統計しかわかりません。
比較的多い精神障害で、PTSDの生涯罹患率は男性で5%、女性で10.4%と、女性が男性の約2倍です。自然災害などの同じトラウマ体験にさらされた場合のPTSD罹患率は女性が男性の約4倍です。アメリカでは、戦闘後遺症、レイプ後遺症としてのPTSDがよく研究されています。ベトナム戦争退役軍人とレイプ被害の女性のPTSD生涯罹患率はそれぞれ、30%、32%です(Kulka RA et al, 1988; Resnick HS et al, 1993)。
参照URL
②H17年度の情報については、不登校生は中学生の方が圧倒的に多いです。
H14とH15の比較では、こころの科学のグラフを見る限りでは、小学生は若干の減、中学生は横這いです。10年前に比べると、大きく増えています。
8月8日の朝日新聞の記事では、「不登校の小中学生は05年度(H17)まで4年連続減少、割合もほぼ横這いで推移していたが、06年度から増加に転じた」とあります。
07年度も増加で、2年連続の増加、小中学生であわせて129,524人ということです。
記事の詳細はこちらでご確認ください。
不登校生の統計上の定義ですが、年間30日以上欠席した児童・生徒です。
③自殺者数の統計もこころの科学に出ています。
H10以来、自殺者3万人時代は続いています。(数字を細かく読む余裕がないので、これだけですみません)
④認知症を原因疾患の比率は、これという数字がないようです。こころの科学には、東京都と神奈川の1995年までの数値しかありません。以下、本文の内容です。
これらの認知症をきたす疾患の中でも、老年期にとくに多くみられる疾患は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症であり、三大認知症とも呼ばれている。過去のわが国では、認知症をきたす疾患のうち血管性認知症が最も頻度が高かった。しかし、最近では、認知症をきたす疾患の半数以上がアルツハイマー型認知症であるとの報告が増えている。さらに、神経病理学的な検討の結果から、レビー小体型認知症がアルツハイマー型認知症についで頻度の高い認知症であるという調査結果もある。
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