« 特別支援教育 | トップページ | 職場におけるメンタルヘルス »

2012.08.13

催眠療法

暑い夏を乗り切りましょう! 人気ブログランキング
    ↑ ↑ ↑
1日1クリックよろしくお願いします。

催眠療法についての質問をいただいていました。
10-77A
催眠療法は、援助者の操作的な手続きが多いので、主体の関与が薄く、他律的な技法である。→×

心理療法について、「このような否定的な記述」はたいてい×なので、調べていませんでした。
質問をいただいて調べてみると、これという根拠を見つけるのに少し苦労しました。でも、見つけました。載っていたのは『心理面接プラクティス』です。

 催眠療法は、催眠という手段を用いてクライエントに心理的援助を行うものである。その方法あ、今日までいろいろな立場からさまざまな形で開発されてきた。代表的な技法のひとつに症状除去法があるが、その治療のメカニズムはこれまで、催眠深度のレベルの除去暗示の内容において論じられてきた。たとえば、不安神経症における心悸亢進への暗示に、心臓の動悸が小指のしびれに転移し、小指をもんでいると動悸もしびれもおさまるというものがある。これが成功するのあ、この暗示を催眠の中でいかに現実感をもって体験するかにある。その体験は、催眠の深度という状態に依拠しているというより、当人の無意識努力の展開の仕方によっている。催眠のなかで、無意識努力という活動様式で、動悸を自分でコントロールしやすい形に置き換え、自分でおさめていくというやり方を身につけたとき、日常生活においても同様の無意識的努力が可能となり、しびれた指をもみほぐすことで動悸をおさめるという非論理的なことが実現する。つまり催眠療法は、催眠で活性化された無意識努力の仕方を、現実の日常生活でも使えるようにしていくことにその治療のメカニズムがあると考えられる。  成瀬は、催眠療法の目標を、「意識努力では伸ばしきれないそのひとの可能性・能力をできる限り伸ばすことを目指し、無意識努力による生活体験の様式変化の援助をはかる」としている。

しかし、催眠療法は、Erickson, M. H. の出現で様変わりし、Erickson を境に「昔の催眠」、「現在の催眠」と使い分けされることもあるとかです。
Erickson は、身体の動きの暗示現象をかなり強調していた「昔の催眠」と異なり、イメージ場面を誘導者が提供し、それに被催眠者が入るという方法です。
Erickson については「間接法」が有名ですが、『心理療法ハンドブック』によると

患者の自由な動きを増大させ、人格や行動の関与をさせやするするために間接的技法を用いる。たとえば、患者に治療的な物語や逸話を話すことで無意識過程を促進する。

この間接法であれば、もちろん主体の関与は薄くありません。

お分かりだと思いますが、こういうのを老婆心というのかもしれませんが、
発達理論のErikson, E. H. と、催眠療法および戦略派家族療法のErickson, M. H. は別人です。
22年度版の赤本の中で、認定協会は21-6Cに、Erickson, E. H. としていますが、Erikson, E. H. の間違いだと思います。

『心理療法ハンドブック』は人気の参考書ですが、ちょっと記述があっさりしていて口当たりのよい食べ物のようです。私はこってりもりもりだけど、宝物のような情報がところどころにかくされている『心理面接プラクティス』の方が好きかもしれません。(食べ物の好みとは異なります!)

|

« 特別支援教育 | トップページ | 職場におけるメンタルヘルス »

過去問の解説-心理療法」カテゴリの記事

コメント

ひろみ様 ありがとうございます。20-46d 21-36b のmについて 教えてください。

投稿: こう | 2012.08.13 11:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 催眠療法:

« 特別支援教育 | トップページ | 職場におけるメンタルヘルス »